「スリは現行犯でなければ逮捕できない」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、それは本当に事実なのでしょうか?本記事では、スリ(窃盗)と逮捕の関係、現行犯の意味、証拠の扱いなどについて、法律の観点から詳しく解説します。
■ 現行犯逮捕とは何か?
刑事訴訟法第213条に基づき、現行犯逮捕とは「犯罪がまさに行われている」または「直後に逃走している」状況で、警察官だけでなく一般人でも逮捕できる制度です。スリのような犯行は、この現行性が認められやすい特徴があります。
たとえば、電車内で財布を抜き取った瞬間を目撃された場合は、まさに現行犯逮捕の対象になります。
■ 現行犯でなくても逮捕は可能
誤解されがちですが、スリが現行犯でなくても後日逮捕される可能性は十分にあります。これを「通常逮捕」といい、証拠が十分にそろっていれば、裁判所が逮捕状を発行し、警察が身柄を拘束できます。
たとえば、防犯カメラ映像や目撃証言、現場に残された指紋・DNAなどが揃っていれば、時間が経過していても逮捕は可能です。
■ スリ事件における証拠の重要性
現行犯でなくてもスリを立証するには客観的な証拠が重要になります。被害届、目撃情報、現場の映像記録、犯行道具の押収、容疑者の供述などが揃うことで、後日逮捕や起訴につながることもあります。
実際に、複数のスリ事件が同一手口で発生していた場合、「常習犯」として捜査対象にされるケースもあります。
■ 警察が慎重になる理由
スリ事件は現場を押さえることが難しく、冤罪リスクもあるため、警察も慎重に捜査を進める傾向にあります。そのため、「現行犯でなければ動かない」と誤解されることもありますが、これは裏を返せば証拠が揃わなければ軽々に逮捕できないという原則を守っているとも言えます。
もちろん、十分な裏付けが取れれば後日の逮捕や送検も行われます。
■ 実際に逮捕されたスリ犯の事例
ニュースなどでも報じられるように、スリ事件では防犯カメラの映像から容疑者が特定され、後日自宅などで逮捕されたケースも少なくありません。
特に駅や商業施設などでは監視カメラが多いため、犯行の瞬間を撮影されていることが多く、逃げ切れる可能性は低いのが実情です。
■ まとめ:スリは現行犯だけでなく後日でも逮捕可能
・スリは現行犯での逮捕が多いが、後日の逮捕も法律上は可能
・証拠が揃えば通常逮捕や書類送検されるケースもある
・警察は慎重に捜査を進めており、現行犯性が強調されるのはその裏返し
・防犯カメラの普及により、犯行後でも特定・逮捕される事例が増加している
「現行犯でないとパクられない」というのは誤解です。スリ行為が発覚すれば、時間が経っていても責任を問われる可能性が十分にあります。社会的信用を失うリスクも大きいため、安易な考えでの犯行は厳禁です。