近年、SNSや動画共有サイトで多く見かけるようになったドライブレコーダーの事故映像。その中でしばしば目にするのが「事故の衝突直後にワイパーが突然動き出す」という現象です。雨が降っていないにもかかわらず、なぜワイパーが作動するのでしょうか?この不思議な現象には、いくつかの明確なメカニズムが関係しています。
事故直後のワイパー作動はよくある現象
事故の衝撃でワイパーが作動するケースは、特に軽度〜中程度の衝突で多く見られます。映像に映るこの一見不可解な動作には、車両の内部構造や運転者の反応が大きく影響しています。
ドライバー視点では、事故に遭遇した直後はパニック状態に陥ることが多く、意図せずステアリングスイッチやレバーを操作してしまうこともあります。
ワイパーが動く原因①:運転者の誤操作
事故直後、驚きや反射的な動きでドライバーがワイパー操作レバーに手をぶつけることがあります。多くの車種では、ハンドルの横にワイパーのスイッチが配置されており、右手で衝撃を受けた際に意図せず作動してしまうケースが非常に多いです。
例えば、トヨタや日産の一般的な車ではワイパー操作が右側レバーになっており、衝突の反動で右手が動いたときに「下に押す」だけで間欠ワイパーが作動してしまうことがあります。
ワイパーが動く原因②:衝撃による電気系統の誤動作
車両の衝突によって、電気系統が一時的に乱れることがあります。これにより、ワイパー制御ユニットが誤作動し、ワイパーが意図せず動き出すことがあります。
とくに近年の車は、CAN通信というシステムで複数の電子機器を制御しており、衝撃や断線が一部のコマンド誤発信につながる可能性も指摘されています。
ワイパーが動く原因③:安全装置としての反応
一部の高機能車では、事故の際に自動で警告灯やハザードランプ、さらにはワイパーを作動させる設計になっていることもあります。これは衝突後に視界確保や警告目的で自動的に作動する安全設計の一環です。
特にメルセデス・ベンツやボルボなどの高級車に見られ、「緊急時作動モード」に切り替わることで複数の補助機能が作動します。
実際の事故映像で見られる具体例
たとえば、X(旧Twitter)やYouTubeなどで出回っている事故映像では、軽自動車が軽く追突された瞬間、ワイパーが1回だけ動くシーンがよく見られます。これはまさに前述したような誤操作や電気系誤作動が原因です。
また、衝突のタイミングで雨が降っていた場合、レインセンサー付きの自動ワイパーが衝撃を「雨」と誤認識して作動する例もあります。
まとめ:ワイパー作動は“異常”ではなく“現象”
事故後にワイパーが動き出すのは、ほとんどが「誤操作」「電気的誤作動」「安全設計」によるもので、心霊現象や謎の現象ではありません。
ドライブレコーダーに映るこの動作に違和感を持つ方は多いですが、車両構造や人間の反射的動作を知ることで、納得のいく説明が可能です。今後事故映像を目にした際は、こうしたメカニズムも思い出してみてください。