アルバイトとして働く際に交わされる「労働契約書」は、労働条件を明確にするための重要な文書です。しかし、契約書に誤りがあった場合や、訂正を求めても会社が再発行に応じないケースも見られます。本記事では、そのような状況において労働者としてどのように対応すべきか、法的な視点から詳しく解説します。
労働契約書の法的位置づけ
労働契約書は、労働基準法第15条に基づいて、雇用主が労働条件を明示する義務の一環として作成されます。具体的には、賃金、就業時間、業務内容、契約期間などが書面で交付されなければなりません。
これを怠る、または誤った情報を記載することは、労働基準法違反に該当する可能性があります。特に誤った内容を訂正しないまま放置することは、労働者とのトラブルの温床になります。
再発行を拒否された場合の問題点
契約書の記載ミスが明らかであるにもかかわらず、会社側が訂正や再発行に応じない場合、法的責任の所在が不明確となり、労働条件をめぐるトラブルに発展する恐れがあります。
たとえば、時給が実際と異なる、労働時間の記載に誤りがあるなどの場合、それが書面に残っていないと、後から証明するのが困難になります。これは労働者にとって非常に不利です。
訂正・再発行を拒否されたときの対応方法
- まずはメールや書面で訂正の依頼を記録として残す
- 誤りの内容と正しい情報を文面に明示する
- 会社の労務・人事部門、または管理職にエスカレーションする
- それでも対応がなければ、労働基準監督署や労働相談窓口に相談する
可能であれば、音声の録音やLINE・Slackなどでのやり取りも記録として保存しておくと良いでしょう。
労働基準監督署への相談の実際
労働基準監督署は、労働基準法違反の疑いがある場合に相談・調査に応じてくれる行政機関です。労働者からの通報があれば、会社側に是正勧告を行うことがあります。
具体的には、就業条件明示書の再交付や、誤りの是正に関する文書での対応を指導してもらえる可能性があります。
トラブル回避のために個人でできる工夫
アルバイト契約書を受け取る際は、事前に内容をよく確認し、署名前に必ず訂正を依頼しましょう。また、交付された契約書はデジタルでも保存しておくと安心です。
入社後も、給与明細やシフト表などを定期的にスクリーンショットや印刷で保管しておくと、契約条件との相違があった際に比較材料になります。
まとめ:労働者には正しい契約書を受け取る権利がある
アルバイト契約書に誤りがあるのに再発行を拒まれるケースは、労働基準法に抵触する可能性がある重大な問題です。会社が対応しない場合でも、労働者には相談機関を通じて自らを守る手段があります。
まずは冷静に記録を取り、然るべき手続きを踏むことで、法的にも正当な主張が可能です。働くすべての人が安心して雇用契約を結べる環境づくりが求められます。