占有離脱物横領などの軽微な事件において、実物の返却や謝罪を行い、警察から「微罪処分」とされた場合でも、その後に相手方から「示談金」を要求されることがあります。本記事では、示談金の法的位置づけと、支払わなかった場合のリスクについて詳しく解説します。
微罪処分とは何か?その後に起こりうること
微罪処分とは、軽微な刑事事件に対して、刑事手続きを経ずに警察の判断で不起訴とする措置のことです。処罰よりも社会的な指導を重視する性格が強く、刑事手続きは終了したと考えられます。
しかし、民事的な損害賠償の請求や示談交渉は、微罪処分後も残るため、相手方が納得していない場合には金銭の要求が続くケースもあります。
示談金の支払い義務はあるのか?
被害者が示談金を求めてきたとしても、加害者に法的な支払義務があるかどうかは別問題です。法律上、損害が発生し、その因果関係が明確でなければ損害賠償義務は発生しません。
実物の返却と謝罪がすでに行われ、損害が解消されているのであれば、金銭の支払い義務が発生するとは限りません。
支払いを断った場合に起こり得ること
相手が感情的に納得していない場合、民事訴訟を提起される可能性はゼロではありません。ただし、裁判で請求が認められるには明確な損害や契約の存在が必要です。
例えば「○○円支払う」などの書面やメールでのやり取りがあれば、その履行義務が生じる可能性がありますが、口頭のやり取りや感情的な請求だけでは認められにくいのが実情です。
弁護士なしで示談交渉を進めるリスク
弁護士を介さずに示談金のやり取りをする場合、後々「言った・言わない」のトラブルが発生しやすくなります。支払う場合でも示談書や免責条項を文書化するのが望ましいです。
また、弁護士が入ることで請求内容が妥当か否か、支払いの必要性があるかを専門的に判断してもらえるため、無用なトラブルを避ける助けになります。
支払うか否かの判断材料と対応策
以下のような視点で冷静に判断しましょう。
- すでに被害が実質的に回復しているか
- 相手が弁護士を立てているか
- 書面やメッセージで金銭支払の約束が残っているか
- 支払った場合に「これ以上請求しない」とする文書が交わせるか
感情的な対応をせず、可能であれば法テラスなど無料相談を活用し、弁護士の意見を仰ぐことをおすすめします。
まとめ:支払い義務の有無はケースバイケース。安易な合意は慎重に
微罪処分後に示談金を要求された場合、すぐに支払うかどうかを決める前に、「損害の有無」「支払義務の発生」「相手の態度」「証拠の有無」などを踏まえて検討しましょう。
特に、書面を交わさずに支払うことは後々のリスクになりますので、支払う場合も法的な確認をした上で慎重に進めるのが賢明です。