ある日突然、NHKから過去数年分にわたる未払い受信料の請求書が届いたら、誰しも驚くことでしょう。特に、平成26年(2014年)から現在に至るまでの60ヶ月分、20万円以上の請求が届いたとなれば、支払うべきか、時効は適用されるのか、悩むのは当然です。本記事ではNHK受信料の未払い請求に対する正しい知識と対応策を解説します。
NHK受信料はなぜ遡って請求されるのか
NHKは放送法に基づき、テレビを設置している世帯に対して受信契約の締結および受信料の支払いを義務付けています。未契約や未納が続いていた場合、NHK側は後からでも遡って請求できるとしています。
例えば、「テレビはあるが契約していなかった」「引っ越し時に手続きを忘れていた」といった事情でも、NHKは『契約義務があった』と判断すれば過去にさかのぼって請求書を送ってきます。
時効はあるのか?5年が基本的なライン
受信料の請求には民法上の消滅時効が適用され、原則として5年です。つまり、5年以上前の未払い分については「支払う法的義務がない可能性」があります。
ただし、注意が必要なのは時効は自動で成立しない点です。時効を主張するには「時効の援用」という手続きを自分で行う必要があります。
時効の援用とは?どのように行うのか
時効の援用とは、「この請求には時効が適用されるため、支払いません」と意思表示する法的手続きです。NHKに対して内容証明郵便で通知するのが一般的です。
例えば、2014年からの請求で2025年現在まで一度も支払っておらず、NHKから裁判を起こされていないなら、2019年以前の請求分については時効の援用で支払いを拒否できる可能性があります。
和解や分割払いの提案に注意
NHK側は一括請求のほかに「分割払い」「和解案」などを提示する場合があります。しかし、その提案に応じると、時効が中断し、支払義務が復活するリスクがあります。
一度でも支払ったり、和解契約書にサインしてしまうと、今後の請求について「支払うと認めた」とみなされる可能性があります。
専門家の相談を受けるメリット
受信料の請求額が高額になるほど、弁護士に相談するメリットは大きくなります。特に、過去の分が本当に時効にあたるかどうか、支払いを拒否して法的トラブルに発展する可能性があるかどうかは、専門家の判断が必要です。
相談先には法テラス(https://www.houterasu.or.jp/)などの無料相談もあります。
まとめ:請求に焦らず、時効援用と専門家相談を検討しよう
NHKの未払い請求が突然届いたとしても、すぐに全額支払う前に「時効が成立している可能性があるかどうか」「その金額が正当かどうか」を確認することが大切です。
時効援用は自分で主張しないと効力が発生しないため、適用可能な場合は速やかに手続きを進めましょう。また、法律の専門家に相談し、自身のケースで最も安全で合理的な対応を検討することが安心につながります。