薬局で支払う医療費は、「10割負担額」に対して健康保険の自己負担割合(多くは3割)を掛け算して計算されます。しかし、実際に支払う金額が計算とぴったり合わないことも少なくありません。たとえば19990円の10割に対して3割負担なら本来は5997円のはずなのに、6000円請求された――このような疑問を持つ方に向けて、調剤報酬制度や端数処理の仕組みをわかりやすく解説します。
薬剤費の計算と「保険点数制度」
日本の医療制度では、薬代や診療費は「点数(1点=10円)」で算出されます。薬局での調剤報酬も、薬剤料・技術料・指導料などが点数で積算され、それを10倍して金額になります。
たとえば、全体で1999点(19990円相当)の場合、3割負担なら5997円ですが、この段階で「端数処理」が加わることで支払額に差が出ることがあります。
端数処理のルールと実例
保険請求では端数処理(四捨五入または切り上げ・切り捨て)が適用されることがあり、保険者ごとに多少の違いがあります。例えば四捨五入されて6000円になる場合もあります。
また薬局によっては、レセプトの請求処理を自動化しており、端数処理がシステム上で一律に行われるケースもあります。つまり、計算上は合っているようでも、実際の支払額に少額の差が生じることがあるのです。
領収書に記載される項目と確認すべき点
領収書には、基本的には「薬剤料」「調剤料」「指導料」「合計金額」などの項目が記載されていますが、端数処理の詳細までは記載されないことが一般的です。
もし気になる場合は、薬局に「端数処理の方法」や「支払額の内訳」について説明を求めることは全く問題ありません。礼儀正しく尋ねれば、きちんとした説明が受けられるはずです。
少額差額は法的に問題ないのか?
法律上、保険診療に基づく支払額の決定は制度に基づいて行われており、薬局側に違法性があるわけではありません。3円程度の端数差異は、通常は正規の手続きに則って処理されています。
ただし、明らかに誤った計算や不適切な請求があった場合は、都道府県の保険者や薬剤師会などに相談することができます。
納得できないときの相談先
薬局の説明に納得がいかない場合や不安がある場合は、以下の相談窓口を活用するのがおすすめです。
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)
- お住まいの市町村の「国民健康保険課」
- 消費生活センター
いずれも、制度の仕組みや相談対応に詳しい専門家が常駐しているので安心です。
まとめ:気になるときは丁寧に確認を
薬局での支払額に少額のズレがあった場合、それは制度上の端数処理や計算方法に起因することがほとんどです。とはいえ、納得のいく説明を受ける権利はあります。気になる点があれば、遠慮せずに確認してみましょう。
丁寧に質問することで、誤解が解けるだけでなく、制度への理解も深まります。