酒気帯び運転と物損事故に関する誤解と実際の行政処分

「酒気帯び運転で物損事故を起こしても行政処分はない」という情報を見かけたことがあるかもしれません。しかし、このような認識は危険であり、現実の法制度とは異なります。この記事では、酒気帯び運転と事故の関係、そしてどのような行政処分が科されるのかをわかりやすく解説します。

酒気帯び運転とは何か?

道路交通法における「酒気帯び運転」は、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上である状態で車両を運転した場合に該当します。これは事故の有無にかかわらず、違法行為です。

たとえ安全運転をしていたとしても、酒気帯び状態でハンドルを握るだけで罰則対象になります。つまり、事故を起こしていなくても処分の対象になるということです。

物損事故であっても行政処分はある

物損事故とは人身被害が発生していない事故を指します。しかし、酒気帯び運転が確認された時点で「飲酒運転」としての行政処分や刑事処分が科されることになります。

たとえば、呼気アルコール濃度に応じて下記の行政処分が科される可能性があります。

呼気中アルコール濃度 違反点数 処分内容
0.15mg〜0.25mg未満 13点 90日間の免停
0.25mg以上 25点 免許取消(欠格期間2年)

このように、事故が物損であろうと飲酒運転自体に厳しい行政措置が科されることに変わりはありません。

よくある誤解:「物損ならセーフ」という神話

ネット上で「物損事故なら大した処分にならない」という情報が流れることがありますが、これは事実とは異なります。飲酒状態で事故を起こした場合、物損でも刑事事件として立件されることが多く、任意保険も適用されないケースがあります。

さらに、事故後に逃走したり、警察への報告を怠った場合は、ひき逃げや道路交通法違反が加算され、より重い処分になります。

実例で学ぶ:飲酒運転と物損事故の行政処分事例

例えば、2022年に大阪府で発生したケースでは、飲酒運転中に駐車中の車に接触する物損事故を起こした運転手が、0.22mgの呼気中アルコールが検出され、免許停止処分に加えて刑事罰(罰金30万円)が科されました。

事故による被害が軽微であっても、飲酒運転そのものが違反であり、社会的制裁の対象となるのです。

行政処分と刑事処分の違いにも注意

行政処分とは、警察などの行政機関が行う運転免許の停止や取り消しなどの処分です。一方、刑事処分は、検察が起訴し、裁判所で罰金刑や懲役刑が言い渡されるものです。

飲酒運転をした場合は、この両方が同時に適用されるケースも多く、仮に物損事故のみであっても社会的影響は非常に大きいことを理解しておく必要があります。

まとめ:事故の種類を問わず飲酒運転は厳しく処分される

「物損事故なら行政処分されない」という情報は誤りです。飲酒運転は事故の有無にかかわらず厳しく罰せられます。アルコールを摂取した状態での運転は絶対に避けるべきであり、周囲にもその危険性と法的リスクを周知することが大切です。

万一飲酒運転で事故を起こしてしまった場合は、速やかに警察に通報し、誠実な対応を取ることが今後の処分にも影響します。法的な正しい知識を持ち、安易な情報に惑わされないようにしましょう。

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