交通事故に遭った場合、過失割合が「10:0」であっても、慰謝料やその他の補償については慎重な判断が必要です。特に、軽いむち打ちや精神的な苦痛に対しても、対応を誤ると損をしてしまう可能性があります。本記事では、通院したケースとしなかったケースを比較しながら、どのような補償が見込めるのかをわかりやすく解説します。
通院ありの場合の慰謝料の目安
通院した場合、慰謝料は「入通院慰謝料」として加算されます。一般的には、通院日数×4,200円程度が相場とされています。これにより、たとえば月に4回(週1回)の通院を3カ月続けた場合、通院回数は約12回で、50,000円前後の慰謝料が目安になります。
ただし、整形外科と整骨院を併用したり、症状の重さが診断書に明記されていたりすると、慰謝料はさらに上積みされる可能性があります。10年前にむち打ちで通院した際に45万円受け取ったケースは、比較的高額な例といえます。
通院しなかった場合の慰謝料はどうなる?
通院がなかった場合でも、事故による精神的苦痛があったと認められれば「慰謝料ゼロ」になるとは限りません。ただし、診断書がなく、治療歴がないと証明が難しく、支払われる金額は極めて低額、またはゼロに近くなるのが一般的です。
「優しい相手だったから…」と遠慮したりすると、結果として慰謝料請求のチャンスを逃すことになる可能性があるため、医師の診察を一度でも受けることをおすすめします。
物損と慰謝料の扱いは別物
事故による車の損傷補償と、慰謝料はまったく別の項目です。自分の車の修理に20万円の上限があるからといって、慰謝料が発生しないわけではありません。慰謝料はあくまで身体や精神への影響に対するものです。
保険会社によっては、物損補償で交渉を終わらせようとする傾向がありますが、人身部分(むち打ち等)の対応は明確に別で請求しましょう。
示談金の中に含まれるものとは?
「示談金」とは、治療費・慰謝料・休業補償・通院交通費などをすべて含んだ最終的な和解金のことです。その中にはもちろん精神的苦痛への対価としての慰謝料も含まれます。
示談を結ぶ前に、請求内容の内訳を明確にしておくことがトラブル回避につながります。書面に残すことも忘れずに。
弁護士特約は利用すべきか?
相手方が完全な過失(10割)であっても、被害者が正しく補償を受け取れるとは限りません。保険会社との交渉や適正な金額算定には法的知識が必要となる場面が多々あります。
そのため、弁護士特約がある場合は積極的に活用すべきです。通常、自己負担なしで対応でき、慰謝料の増額が見込めることも少なくありません。
まとめ:慰謝料を最大限に受け取るための行動とは
交通事故で10対0の過失割合であっても、通院の有無で慰謝料の金額は大きく異なります。少なくとも医師の診断を受け、症状を記録として残すことが大切です。
また、示談交渉の際は慰謝料の内訳を明確にし、可能であれば弁護士特約を利用して法的に適切なサポートを受けることで、納得のいく補償を受け取ることができます。