交通事故は接触があったかどうかだけでなく、その後の対応次第で大きな法的責任を問われる場合があります。特に“非接触”の事故でも、状況によっては「ひき逃げ」や「事故不申告」などの扱いになる可能性もあるため注意が必要です。
非接触でも「事故」と見なされる可能性
道路交通法では、物理的な接触がなくても、自分の行動が原因で相手に事故を誘発させた場合、それが事故として扱われることがあります。たとえば、自転車の急な飛び出しによりバイクが転倒した場合などがこれに該当します。
このようなケースでは、加害者側が「事故の一因」と見なされ、警察への報告義務や救護義務を負う可能性があります。
ひき逃げに該当するケースとは?
ひき逃げは、道路交通法第72条に定められた「救護義務違反」に該当します。事故の当事者が、被害者の救護や警察への報告を行わずに現場を離れた場合、接触の有無にかかわらず処罰の対象となり得ます。
「目撃者が行っていいと言った」という事情があっても、法律上は当事者の義務が優先されます。たとえ善意の第三者であっても、判断の責任は負いません。
10年経過している場合の扱い
刑事事件として扱われる場合、時効が適用されることがあります。交通事故に関する救護義務違反や過失致傷の時効は、通常7年(※事案により異なる)で、特別な事情がない限り、10年経過していればすでに時効が成立している可能性があります。
ただし、事故の通報が行われていた場合や記録が残っていた場合には、何らかの法的対応が後からされる可能性もゼロではありません。
実例:非接触事故から書類送検に至ったケース
2022年、関東地方で自転車とバイクの非接触事故により、転倒したバイクの運転手が重傷を負い、自転車の運転者が現場を離れた事案では、ドライブレコーダー映像などをもとに捜査が行われ、結果的に書類送検されました。
このように、物理的接触がなくても「危険な運転による誘発」が立証されれば、過去の行動が法的責任を問われるケースも存在します。
通報の有無と警察の判断
現場での通報がなければ、事故そのものが記録に残らず処理されない可能性もあります。ただし、相手側が後日通報した場合や、防犯カメラなどに映像が残っていた場合には、後から捜査が開始されることもあります。
今後の対策と考え方
過去の事故で心配が残る場合は、専門の弁護士に相談し、自身の法的リスクを確認するのも一つの手段です。特に事故現場を離れてしまったことが引っかかる場合は、法的な整理をしておくことが精神的にも安心につながります。
また、現在交通手段として自転車やバイクを利用している方は、事故発生時の対応マニュアルを事前に確認し、万一の際に適切な行動が取れるよう準備しておくことが大切です。
まとめ
非接触の事故でも「事故の原因」とされる可能性があり、現場を離れた場合にはひき逃げの扱いを受けることもあります。10年経過していれば時効の可能性が高いですが、事故後の対応は法的に非常に重要です。今後のためにも、交通法の理解を深め、安心・安全な走行を心がけましょう。