道路交通において対向車線にはみ出す大型車の危険性は高く、特に違法駐車や長時間の路上停車があると、重大な交通事故の原因にもなり得ます。この記事では、路駐車両を避けるためにセンターラインを越えてくる車両と事故になった場合の法的な責任や過失割合について詳しく解説します。
路上駐車されたトラックが引き起こす交通トラブル
大型トラックの路上駐車は、視界を遮るだけでなく、対向車の進路を妨げる深刻な原因となります。特に片側1車線の道路では、これを避けるために他の大型車両がセンターラインを越えるケースが多くなります。
このような場面では、運転者は常に「前方確認義務」と「安全運転義務」を負っており、それを怠って事故を起こした場合、追い越した側の車両に過失が認定されるのが一般的です。
事故発生時の過失割合の基本
対向車線をはみ出してきた車両と正面衝突した場合、基本的にセンターラインを越えた側に大きな過失が認められます。民事責任上の過失割合としては、通常、はみ出した車両が7~9割程度の過失を負うことになります。
一方、対向車側が徐行義務や危険回避措置を怠っていた場合、被害者側にも1~3割程度の過失が割り当てられる可能性があります。
避けなかった場合の法的評価
「避けなかった」という行動が、意図的・挑発的でない限り、被害者側に過失が重くなることは稀です。ただし、視認性が良く、明らかに避けることができた状況で避けずに衝突した場合は、被害者にも一定の注意義務違反が認められることがあります。
実例として、対向車線を越えてきたトラックと衝突したケースでは、裁判所が「安全な位置に停止しなかった」点を挙げて、被害車両側に20%の過失を認めた判例があります。
路上駐車したトラックの責任は?
そもそも原因となった路駐トラックの存在も重要なポイントです。違法な駐車が原因で事故が発生した場合、その駐車車両の管理者にも「事故誘発の一因」として責任が問われる可能性があります。
たとえば、長時間ハザードも付けずに停車し、他の車両の視界や進路を妨げていた場合には、損害賠償請求の対象になることもあります。
事故に遭った際の対応と証拠の重要性
事故後の対応としては、現場の状況を記録することが極めて重要です。スマホなどで現場の写真を撮影し、特に対向車の走行ライン、駐車トラックの位置、見通し状況を明確にしておきましょう。
また、ドライブレコーダーがある場合は、その映像が証拠として極めて有効です。警察や保険会社への提出の際、過失割合の判断材料となります。
まとめ
対向車線にはみ出す車両との事故は、基本的にそのはみ出した車両に重い過失が問われます。避けなかったからといって、被害者が全面的に責任を問われることは通常ありません。
しかし、事故を避けられる可能性があったかどうかは、過失割合に影響します。安全運転義務と証拠の確保が、万が一の際に自身を守る大きな要素となります。