交通事故は年齢にかかわらず起こりうるものですが、統計や現場の実情から見ると、特定の年代にはそれぞれ特有のリスク要因が存在します。免許を取りたての10代・20代と、経験豊富だが身体機能が低下する90代。果たして、どちらの方が事故を起こしやすいのでしょうか。
交通事故統計から見る年齢別の傾向
警察庁の統計によると、10代〜20代の若年層は事故率が高く、特に初心運転者の事故件数は顕著です。一方で、高齢者、特に75歳以上の運転者による重大事故も年々増加しています。
例:2023年の統計では、10代の運転者1万人あたりの事故件数は約40件。一方で、90代の事故件数は少ないものの、死亡事故や重大事故の割合が高いのが特徴です。
若年層に多い事故の特徴と原因
10代・20代の事故は、「スピードの出しすぎ」「注意散漫」「経験不足」によるものが大半を占めます。特にスマートフォン使用や仲間との運転中の会話が原因となるケースが多く見られます。
実際にあった例:19歳のドライバーが夜間の高速道路でスピード超過し、前方の車両に追突。結果的に大破・重傷事故となりました。
高齢者に多い事故の特徴と原因
90代など高齢の運転者の場合、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」や「認知機能の低下」「視力・聴力の低下」による事故が目立ちます。
典型例:駐車場でブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏み込み、コンビニに突っ込むという事故が全国で発生しています。
事故の「頻度」と「重症度」は分けて考える
若年層は事故の件数が多いが軽傷事故が多く、高齢者は件数は少ないが死亡事故の割合が高いという違いがあります。「どちらが危険か」は単純な数ではなく、事故の質や背景も含めて総合的に判断する必要があります。
年齢別に求められる安全対策
若年層には以下のような対策が有効です。
- スマホの運転中使用禁止(ドライブモード活用)
- 運転歴1年未満は深夜・悪天候時の運転を避ける
- 安全講習やドライブレコーダーによる自己振り返り
高齢者向けには。
- 定期的な認知機能検査の受検
- 運転免許の自主返納制度の活用
- 安全装備付き車両(自動ブレーキなど)の導入
まとめ:事故の「起こしやすさ」は年代により性質が異なる
・10代〜20代は「頻度」が多く、注意不足や経験不足が主因
・90代など高齢者は「重症度」が高く、身体機能の低下がリスク要因
・事故防止には年齢に応じた対策とサポートが不可欠
安全な交通社会の実現には、年齢にとらわれず一人ひとりが「運転の責任」を再認識することが重要です。