飲酒運転事故後に飲酒して証拠隠滅を図るとどうなる?法律で比較される罰則とその重さ

飲酒運転は重大な交通違反であり、特に人身事故を引き起こした場合には極めて厳しい罰則が科されます。しかし、事故後にさらに飲酒をして「アルコールの影響を事故前の飲酒なのか後の飲酒なのか曖昧にする」行為、つまりアルコール等影響発覚免脱罪が成立するケースもあります。この記事では、それぞれの法的な責任の違いや刑罰の重さを比較しながら、どう対処すべきかをわかりやすく解説します。

飲酒運転による人身事故の罰則

まず、飲酒運転で人にケガをさせた場合には「危険運転致傷罪」や「過失運転致傷罪」などが適用されます。状況によって量刑が異なりますが、危険運転致傷罪の場合は以下の通りです。

  • 負傷させた場合:15年以下の懲役
  • 死亡させた場合:1年以上の有期懲役(上限20年)

ここで重要なのは「酩酊状態」で正常な運転が困難な状態だったか否かです。警察の呼気検査などにより血中アルコール濃度が証拠として残ります。

アルコール等影響発覚免脱罪とは何か?

事故後にわざとアルコールを摂取して、事故当時の飲酒の事実を隠す行為は「アルコール等影響発覚免脱罪」(刑法第208条の11)にあたります。

この罪の法定刑は。

  • 12年以下の懲役

これは、通常の「過失運転致死傷罪」(7年以下の懲役など)よりも明らかに重い刑罰が想定されている点に注意が必要です。

なぜ証拠隠滅行為が重くなるのか

本来、交通事故は誠実な対応が求められます。事故後に飲酒して「いつ飲んだか分からなくする」行為は、司法の正常な手続きを妨害する目的であるとみなされ、悪質性が極めて高いと評価されます。

このため、単なる過失による飲酒事故よりも「飲酒の隠蔽を図った」という行為が厳しく問われるのです。これは言い換えると、事故後に虚偽報告や隠蔽をすることで刑罰が加重される例の一つです。

実際に起きた裁判例から見る量刑の違い

過去の裁判では、飲酒事故を起こした後にコンビニで酒を購入し飲んだとされる被告が、「アルコール等影響発覚免脱罪」で懲役実刑判決(4年6か月)を受けた例があります。

一方で、事故直後に救護をし、正直に飲酒を申告したケースでは執行猶予がついた事例も存在しています。

つまり、「事故後の行動」がその後の量刑判断に大きく影響することが明らかです。

まとめ:罪を軽くする行為ではなく、重くする行為

「事故後に酒を飲めば証拠が消えるのでは?」と考えるのは大きな誤解です。現代では防犯カメラ、通話履歴、SNSなどの証拠も含めて時系列は検証可能であり、虚偽の証言や行動はすべてマイナス材料として扱われます

飲酒運転そのものが重罪ですが、その後の隠蔽行動はさらに重い罪を招くという点は、広く知識として認識されるべきでしょう。

交通事故後は、冷静かつ誠実な対応が自分自身を守る最も重要な行動であることを、最後に強調しておきます。

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