交通事故の相手が自賠責保険や任意保険に加入していなかった場合、被害者としてどのような対応ができるか、不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、無保険車との事故が起きた際の責任の所在や、損害賠償の請求方法、そして実際の回収手段について解説します。
加害者が保険に入っていないとどうなるのか
日本ではすべての車両に「自賠責保険」への加入が義務付けられていますが、それすらも未加入である「完全無保険」のケースも実在します。任意保険は加入義務はないため、加害者が任意保険未加入というケースはより頻繁に発生します。
事故による損害(治療費・車の修理費・休業損害など)が発生した場合、本来は加害者側の保険会社が支払いますが、無保険の場合は加害者本人が直接賠償責任を負うことになります。
被害者はどうやって損害賠償を請求するのか
加害者が保険未加入の場合、損害の請求先は「加害者本人」となります。まずは示談交渉を行い、支払い方法などを話し合うのが一般的です。
示談が成立しない場合や、誠実な対応が得られない場合は、民事訴訟を通じて損害賠償請求することになります。訴訟後、裁判所からの支払い命令(判決や和解調書)が出れば、強制執行による差押えも可能になります。
加害者が「払えない」と言ったらどうなるのか
加害者に支払い能力がない場合、一括で支払うことは困難になるため、分割払い(ローン払い)の交渉となるケースが多くあります。分割で支払う場合でも、示談書や支払計画書を作成し、署名・押印を求めることで法的拘束力を持たせることが可能です。
ただし、分割払いでも支払いが滞った場合は、改めて訴訟手続きを行うか、すでに判決がある場合は財産差押えなどの強制執行を検討する必要があります。
無保険の相手に対して損害回収できないリスクも
加害者が無資産・無収入の場合、いくら裁判で勝っても回収が難しいという現実もあります。つまり、支払い義務はあっても、実際の回収ができないリスクがあるということです。
このようなリスクに備えて、自分が加入する任意保険の「無保険車傷害保険」や「人身傷害保険」が役立つことがあります。特に重傷や死亡事故に備え、こうした補償をつけておくと安心です。
示談交渉時に知っておくべき注意点
加害者が無保険である場合、自らが交渉に当たる必要があるため、以下のような点に注意しましょう。
- 必ず書面で交渉内容を残す(示談書の作成)
- 期日・金額を明確にする
- 相手の連絡先・勤務先・口座情報などを把握する
交渉に不安がある場合は、弁護士特約を使って専門家に任せることを検討してください。保険に付帯されていることも多く、利用者の自己負担なしで弁護士が対応してくれます。
まとめ:無保険車との事故時に泣き寝入りしないために
無保険車との事故に遭った場合、加害者本人に責任を問うことになりますが、実際の回収は容易ではありません。支払い能力の有無や誠実さが大きく影響するため、冷静かつ法的根拠に基づいて対応する必要があります。
被害を最小限に抑えるためにも、自身の任意保険の内容を見直し、「無保険車傷害保険」などの補償をあらかじめ備えておくことが大切です。