私たちが日常的に購入している「コシヒカリ」「あきたこまち」などの銘柄米。店頭でよく見かけるこれらの商品は、実は中身が100%そのブランド米とは限りません。裏面のラベルに注意書きがある通り、混合割合や産地の実態は多くの消費者が見逃しているポイントです。この記事では、そうしたお米表示の仕組みや選び方のコツ、そして真に信頼できるお米の購入方法について詳しく解説します。
銘柄米とは?その定義と表示制度について
「銘柄米」とは、農林水産省による食味官能評価などを基に、一定の基準を満たした米に与えられる呼称です。コシヒカリ、ひとめぼれ、ななつぼし等がその代表例です。しかし、パッケージに大きく銘柄名が書かれていても、中身がすべてその銘柄とは限りません。
実際には、混合米(ブレンド米)として、コシヒカリを10%、その他の米を90%使用しているケースもあり、パッケージ裏面に「主食用米」「複数原料米」「産地未検査米」などと記載されていることがあります。
なぜ100%銘柄米ではないのに安く販売できるのか?
スーパーで10kgあたり5,000円〜6,000円程度で売られている「銘柄米」には、価格を抑えるために等級外米・古米・古古米が混入している場合があります。これはブレンドによってコストを調整しているからです。
たとえば「コシヒカリブレンド」と表記された商品は、実際には5%〜10%のみがコシヒカリで、残りは価格の安い自主流通米や古米で構成されているケースもあります。
裏面表示の読み解き方と確認ポイント
パッケージ裏面には、「名称:精米」「原料玄米:複数原料米 国内産 10% コシヒカリ 他90%」などと表記されています。この部分を見落とさず、表示義務のある原産地・品種・割合を確認することが非常に重要です。
また、農林水産省のガイドラインでは、原料玄米が複数ある場合は、その中で最も多い品種を「主たる品種」として表示することが求められていますが、混合比率が低くても商品名に使用されているケースもあるため、消費者は注意が必要です。
本当に信頼できる米を買うためには
100%その銘柄であることを保証されたお米を買いたい場合、次の方法が推奨されます。
- ・農家からの直接購入(例:ふるさと納税、農協直販)
- ・JAや認証米マークがあるもの
- ・「単一原料米」と明記された商品
特に農家から玄米を直接購入し、家庭用精米機でその都度精米する方法は、香り・甘味・粘りの点でも格段の違いがあります。
第三者機関による品質検査の仕組みと限界
お米の品質や安全性については、農協やJA、または民間の検査機関によって等級評価(1等米、2等米など)が行われています。しかし、流通段階でのブレンドや古米混入については、必ずしも厳格なチェックがあるとは限りません。
したがって、消費者としては「どこで・誰から買うか」が信頼性を左右する大きな要因になります。ブレンド米を否定するわけではありませんが、選ぶ基準を持つことが大切です。
まとめ:お米を正しく選んで食卓を豊かに
「銘柄米」とひとくちに言っても、その中身は必ずしも純粋な単一品種とは限りません。裏面表示を読み取る力、そして信頼できる流通経路からの購入が、安心・安全でおいしいお米に繋がります。価格だけで判断せず、家庭の食卓を守るためにも、お米の選び方にこだわってみてはいかがでしょうか。