交通事故に巻き込まれた結果、会社を休まなければならなくなった場合、「休業補償」を受け取れるケースがあります。その際、有給休暇を使うべきか欠勤扱いにするべきか、判断に迷う方は多いのではないでしょうか。本記事では、事故による休職時における休業補償と勤務形態の選び方について、具体的に解説していきます。
交通事故と休業補償の関係
交通事故の加害者側が加入している自動車保険には「休業損害補償」が付いていることが一般的です。この補償は、被害者が事故によって働けなくなり、その間に得られなかった収入をカバーするためのものです。
この補償額は、事故前の給与水準をもとに日額で算定され、通勤手当や残業代などを含めて請求することも可能です。申請には医師の診断書や休業証明書などが必要となります。
有給休暇を使うとどうなるのか
事故で休職する際に有給休暇を使用すると、会社からは通常の給与が支払われることになります。そのため、実際の収入面での減少は発生しません。しかしこの場合、保険会社からの休業補償は受け取れなくなる、または減額される可能性があります。
なぜなら、有給で給与を受け取っている以上、「収入の損失がない」と見なされるためです。つまり、有給を使うことで一見安心に思えますが、後々の補償請求には不利に働くこともあるのです。
欠勤扱いにするメリットとデメリット
一方で、会社に欠勤として処理してもらう場合は、給与は支払われません。しかし、この欠勤日数を休業日数として保険会社に請求することが可能となり、休業補償金を受け取れる可能性が高くなります。
ただし、欠勤により社会保険料や年金などが差し引かれたままになるなどの会社側の制度上の影響もあるため、事前に労務担当者と相談することが重要です。
休業損害証明書とは何か？
休業補償を請求する際には、勤務先に「休業損害証明書」を発行してもらう必要があります。これは、どの期間どれだけ休職したか、事故前の収入がいくらだったかを明らかにする書類です。
この証明書が正確でないと、補償金の支払いがスムーズに行われない場合もあるため、必要な書類を早めに確認し、会社に協力を依頼することがポイントです。
実際にあった事例と判断材料
ある被害者の方は、有給を使用して3週間休職しましたが、その後保険会社に請求した休業補償が「給与をもらっていた」との理由で却下されてしまいました。
逆に、別の方は会社と相談のうえ欠勤扱いにしてもらい、診断書と休業損害証明書をもとに約30万円の補償を受け取ることができたケースもあります。このように、対応の仕方によって結果は大きく変わってきます。
まとめ：最適な選択は会社との連携がカギ
交通事故による休職時には、安易に有給休暇を使う前に、加害者側の保険に休業補償があるかを確認することが大切です。欠勤扱いにすることで補償が受けられる可能性が高まりますが、会社の制度やルールも影響するため、事前に会社の労務担当者や弁護士に相談するのが安心です。
補償を最大限に活用し、経済的な損失を最小限に抑えるためにも、慎重な判断をおすすめします。