交通事故による怪我の治療後、後遺障害等級が認定されなかった場合、「遡って治療費が賠償対象外」と言われるケースがあります。このような保険会社の対応に疑問や不信感を持つ方は少なくありません。本記事では、後遺障害の非該当と賠償との関係、そして納得できない示談対応への対処法をわかりやすく解説します。
後遺障害等級が非該当となった場合の影響
交通事故による怪我の治療後、症状が長引いたとしても、後遺障害等級が「非該当」と判断されれば、等級に基づいた追加の慰謝料や逸失利益は原則として支払われません。
しかし、治療のために要した費用や通院期間中の慰謝料は、事故との因果関係が認められる範囲内であれば支払われるべきです。後遡って「後遺障害が認められなかったから8か月分は支払わない」とするのは、本来の損害賠償の考え方から逸脱している可能性があります。
保険会社が「遡って支払わない」と言ってくる理由
一部の保険会社では、「治療の必要性が医学的に認められない」との理由で通院費用や慰謝料の打ち切りを主張することがあります。これは「症状固定」と呼ばれる考えに基づきます。
しかし、症状固定の時期については、主治医の意見や通院の実態、診断内容を踏まえて慎重に判断されるべきであり、保険会社が一方的に決めるものではありません。
弁護士特約を使っている場合の交渉ポイント
弁護士特約を利用している場合、保険会社との交渉は弁護士が代行してくれます。この際、以下のポイントに注目して主張を組み立てることが大切です。
- 主治医の診断書で治療継続の必要性が記されているか
- 保険会社からの治療費打ち切りの通知が正式にあったか
- 後遺障害認定と治療費の支払いを混同していないか
加えて、日本弁護士連合会などを通じて、セカンドオピニオンの取得も検討できます。
実際に起きた同様のトラブル事例
ある交通事故被害者のケースでは、治療期間中に保険会社から連絡が一切途絶え、後になって「8か月分は支払い対象外」と通告されました。しかし、医師の診断や通院履歴を証拠として訴訟に踏み切った結果、一部の支払いが認められた例もあります。
このような事例からも、泣き寝入りせず法的な手続きを取ることで正当な補償を得られる可能性があります。
納得できない場合は訴訟も選択肢に
示談では解決できず精神的な負担も大きい場合、民事訴訟に移行することも検討しましょう。弁護士費用が心配な方も、弁護士特約があれば原則として自己負担はありません。
ただし、訴訟には時間と労力がかかるため、「どこまで争いたいのか」というご自身の意思が重要です。
まとめ:後遺障害の非該当でも諦める必要はない
後遺障害が認定されなかった場合でも、事故との因果関係が認められる治療費や慰謝料は本来請求可能です。保険会社の一方的な打ち切り判断や連絡不足に納得がいかない場合は、弁護士と連携して冷静かつ客観的に対応しましょう。精神的に迷いがあるときは、セカンドオピニオンや無料法律相談も活用して、悔いのない判断を行うことが大切です。