中古車を購入したにもかかわらず、納車直後に不具合が発生し、修理のため販売店に引き取られるというケースは少なくありません。せっかく契約した車が乗れない状況に陥ったとき、買主は「返品できるのか」という疑問を抱きます。この記事では、契約目的の達成不能や民法上の契約不履行といった観点から、中古車購入後すぐの初期不良に対する法的な対応について詳しく解説します。
契約の目的が達成できなかった場合の法的根拠
民法では、「契約の目的が達成できなかった場合」や「債務不履行」があった場合に、契約の解除や損害賠償が認められることがあります。
例えば、「◯月◯日に納車された車に乗ること」を契約の目的としていたにもかかわらず、納車直後に車が故障し販売店へ引き取られた場合は、契約目的が実質的に果たされていないと主張することが可能です。
中古車販売における「瑕疵担保責任」
中古車販売では、契約時に「保証なし」や「現状販売」と明記されていることもありますが、それでも重大な初期不良については、販売者に「瑕疵担保責任(現在は「契約不適合責任」)」が問われる可能性があります。
たとえば、エンジンの始動不能やブレーキの不具合など、安全に支障をきたす初期不良があった場合には、「契約内容に適合していない」とされ、買主は補修・代替品の請求、あるいは契約解除を求めることができます。
実際に返品できた事例とできなかった事例
【返品が認められたケース】
納車直後からエンジンがかからない不具合が発生し、販売店も故障の存在を認めたため、契約解除および全額返金がなされた。
【返品が認められなかったケース】
購入後2週間ほど経ってからの不具合であったうえ、買主が独自に整備を依頼してしまったため、「初期不良かどうか不明」とされ、返品は却下された。
返品交渉を行うための具体的なステップ
- 購入契約書を確認する:保証内容や返品条件が記載されていないかチェック
- 不具合の詳細を記録する:故障の日時、内容、修理履歴、やり取りの記録などを残す
- 販売店に冷静に相談する:感情的にならず、状況を丁寧に伝えることがポイント
- 弁護士への相談も検討:消費者センターや法テラスの無料相談を活用する手もあります
返品が難しいケースでも、補修費の負担や代替車両の提供といった交渉が成立する可能性はあります。
「すぐ修理されたから返品できない」は本当か?
販売店側から「すぐ直したので問題ない」と説明されたとしても、初期不良で契約目的が果たされなかったのであれば、買主には一定の権利があります。
たとえば旅行や通勤に使用する予定で納車を待っていたにもかかわらず、納車後すぐに使えなかったことで損害が生じたなら、契約の履行不能や目的達成不能としての主張は十分に可能です。
まとめ:納車後すぐの不具合は泣き寝入りせず記録と相談を
中古車の購入後すぐに不具合が見つかった場合でも、契約不適合責任や契約目的の達成不能といった民法上の根拠に基づいて、返品や補償の交渉が可能です。
販売店とのやりとりや契約書類の保管、故障の詳細な記録が重要となります。問題が解決しない場合は、消費者センターや弁護士への相談も選択肢として考えましょう。