無断撮影と拡散、それに伴う誹謗中傷のリスクと対処法|後ろ姿でも許されないケースとは?

スマートフォンやSNSの普及により、日常生活でのプライバシーが脅かされる場面が増えています。特に、たとえ「後ろ姿」であっても、本人の承諾なく写真や動画を撮影し、さらにそれを誹謗中傷とともにインターネット上で拡散する行為には重大な問題があります。本記事では、無断撮影の法的リスク、誹謗中傷との関係性、そして被害を受けた場合の対処法について詳しく解説します。

無断撮影は後ろ姿でも問題になる?

「後ろ姿だから顔が写っていない」「公共の場だから撮っても大丈夫」といった認識は、法的には必ずしも正しくありません。たとえ顔が写っていなくても、その人が特定可能な場合、プライバシーの侵害と見なされる可能性があります。

実際に、特徴的な服装や髪型、持ち物、場所や時間帯によって個人が特定されることは珍しくありません。無断で撮影された本人が特定された上で、その画像や動画が拡散された場合、名誉権や肖像権の侵害に該当することがあります。

誹謗中傷とセットになるとより深刻に

無断撮影に加え、「この人、電車で迷惑だった」などといった誹謗中傷のコメントを添えて拡散する行為は、法的リスクが格段に高まります。特にSNSでの投稿は瞬時に広がるため、被害者の社会的評価を大きく下げ、精神的苦痛を与えるケースが多発しています。

こうした投稿には、名誉毀損罪や侮辱罪が適用される可能性があります。刑事事件として立件される例も増えており、投稿者が書類送検された事例も報告されています。

実際の事例から見るリスクと対応

2022年には、電車内での無断撮影動画をSNSで拡散し「迷惑な乗客」と中傷した投稿者が、被害者から損害賠償を請求され、50万円以上の和解金を支払ったケースがあります。

また、ある女性が街中で無断撮影された動画に「非常識」といった中傷が添えられネット上で拡散。拡散元に対して訴訟を起こし、謝罪文と投稿削除を勝ち取った事例もあります。

被害を受けたときの対処方法

  • 証拠保全:まずは該当の投稿、画像、動画のスクリーンショットやURLを保存しておきましょう。
  • プラットフォームへ通報:Twitter、Instagram、TikTokなど各SNSには通報機能があります。規約違反により削除されることも。
  • 弁護士に相談:法的手続きに進む場合は、専門の弁護士への相談が安心です。ネット誹謗中傷に強い法律事務所も多く存在します。
  • 警察に相談:誹謗中傷の程度が重く、身の危険を感じる場合は、迷わず警察に相談しましょう。

予防としてできること

人の写真や動画を無断で撮らない・撮らせない意識づけが、社会全体に必要です。

・自分自身もプライバシーを守るため、顔や特徴が写るような場面では周囲を意識し、身を守る行動が大切です。たとえば、人の多い場所では後方にカバンを背負う、フードをかぶるなどの配慮も検討されます。

まとめ:後ろ姿でも油断は禁物、無断撮影・中傷は大きなリスクに

「後ろ姿なら問題ないだろう」という認識は危険です。現代では、その一枚や一本がネットで大きな波紋を呼び、当事者の人生に深刻な影響を与えかねません。撮る側も、撮られる側も、それぞれの権利とマナーを意識した行動が求められています。

もし被害を受けた場合は、一人で抱え込まず、法的な支援を活用して適切な対応を行いましょう。

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