交通事故における過失割合が50対50だった場合、怪我の有無やその程度によっても処分内容が異なることがあります。特に「怪我をした側にも過失がある場合、どちらが処罰されるのか?」という疑問は多くの人が抱くものです。本記事では、過失相殺が認められるケースにおいての刑事責任・行政処分の実態について解説します。
交通事故の処分の種類:行政処分と刑事処分
交通事故における処分には主に2種類あります。一つは運転免許の停止・取り消しなどの行政処分、もう一つは罰金や懲役などの刑事処分です。
行政処分は点数制度に基づいて行われ、事故の重大性や違反内容によって点数が加算されます。刑事処分は「業務上過失傷害罪」などに該当した場合に検察によって起訴される可能性があるものです。
過失割合が50対50の事故での基本的な考え方
交通事故では、どちらか一方が100%悪いケースばかりではありません。50対50のような相互に責任がある事故も多く見られます。この場合でも、「被害が大きいほう=刑罰が重くなる」わけではありません。
つまり、怪我の程度と加害行為の重大さは別問題として扱われます。軽傷でも加害性が高ければ処分され、重傷でも相手に非があるなら処罰されないこともあります。
人身事故の扱いと警察の判断
人身事故として届け出た場合、警察は実況見分を行い、調書を作成します。ここで重要なのは「怪我を負った側が必ずしも被害者として扱われるとは限らない」という点です。
過失割合が50対50ならば、警察は両者に一定の責任があるとして調書をまとめることになります。ただし、相手の怪我が重い場合、より安全配慮義務を怠った方に刑事責任や行政処分が集中する傾向があります。
具体例で見る:同程度の過失で片方が重傷を負った場合
以下のようなケースを考えてみましょう。
- A車とB車が交差点で出会い頭に衝突。
- 過失割合は50:50。
- A車の運転手は軽傷、B車の運転手は骨折。
この場合、警察が人身事故として扱えば、事故を引き起こした状況の危険性が高いと判断された側に刑事・行政処分が科される可能性があります。例えば、速度超過や一時停止無視などがあった場合は、怪我の程度に関係なく処分されることがあります。
怪我をした側にも処分の可能性があるのか?
結論から言えば、怪我をした側でも過失があると判断されれば、処分の対象になります。ただし、同情的な処遇がなされることも多く、軽微な違反と判断されれば不起訴や点数加算なしの可能性も。
また、過失割合が50:50であっても、相手の怪我が大きく報道されるなどの事情があれば、社会的には加害者扱いされるケースもあるため、法的な処分とは別に配慮が必要です。
まとめ:50対50の事故でも処分は「状況次第」で変わる
交通事故における処罰の判断基準は、単純な過失割合だけでなく、行為の危険性・状況・怪我の内容などさまざまな要素で総合的に判断されます。過失割合が50対50であっても、その後の対応次第で処分や印象が大きく変わる可能性があります。
事故の被害者であっても過失があれば処罰される場合がある一方で、軽微な違反であれば不起訴や処分なしもありえます。事故後は速やかに弁護士や専門家に相談することが重要です。