高速道路や一般道で時折ニュースになる「逆走事故」。目撃した側は驚き、巻き込まれた側は命の危険に晒されます。そもそもなぜ逆走が起きるのか、そしてそれを“完全になくす”ことは可能なのか。本記事では、現実的な原因分析と最新の対策、そして未来の交通社会に向けた展望までを解説します。
逆走はなぜ起きるのか？背景と要因の分析
逆走の多くは高齢ドライバーによる「認知ミス」「進入禁止標識の見落とし」などによって発生しています。
また、中には故意（酒気帯び・逃走・自殺目的）や、ナビの誤案内、車両の方向感覚錯誤といった、複合的な原因も絡むことがあります。
例：2019年に発生した東名高速の逆走事故では、80代男性がIC入口と出口を誤認し、約4kmにわたって逆走。死亡事故に繋がりました。
現行の逆走防止対策には何がある？
- 道路標識・ペイント強化：進入禁止マークや「止まれ」表示を路面に繰り返し設置
- 逆走検知センサー：ETCゲート・ランプウェイに設置し、逆走車を自動検知
- 警告放送・電光掲示板による注意喚起：逆走が起きた際に周囲ドライバーへ即時周知
- 高速道路上での逆走抑止バリア実験：可動ポール・突起物などによる物理的阻止策の導入
とはいえ、これらは“完全な防止”には至っておらず、あくまで発生率を減らす手段です。
自家用車そのものが“無くなれば解決”なのか？
たしかに、人が運転する車そのものがなくなれば、逆走事故も理論上ゼロになります。
しかし現代社会では、日常生活・物流・医療など多くの場面で自家用車の存在が不可欠であり、“廃止”は現実的ではありません。
ただし、自動運転やMaaS（Mobility as a Service）が浸透すれば、免許返納後の高齢者でも安全に移動できるようになり、「運転不要な社会」への移行が逆走を減らす大きな一歩となる可能性はあります。
将来的に逆走を限りなくゼロに近づけるには？
・完全自動運転の普及：逆走や速度超過をシステムが自動抑制することで人的ミスを排除
・高齢者向け免許制度の再構築：一定年齢以上は毎年適性検査や試験を義務化
・車両側での逆走防止機能の標準搭載：逆進方向の走行をソフトウェアで強制停止
・地域内モビリティのシェア化：自家用車ではなく地域が管理する共用EV車で移動する社会構造
まとめ：逆走ゼロは「技術×制度×意識」の融合が鍵
逆走を完全になくすことは、現時点では困難ですが、自動運転・道路インフラ・高齢運転者対策・社会全体の意識改革の組み合わせにより、限りなくゼロに近づけることは可能です。
自家用車を「完全になくす」ことではなく、「誰もが安全に移動できる社会」をどう設計していくか──それが私たちの未来を守る第一歩です。