執行猶予中の行動は、非常に慎重であるべきです。特に、道路交通法や自動車関連法に違反する行為は、思わぬ形で実刑判決に繋がる可能性があります。この記事では、無車検車両の運転・貸与がもたらすリスクとその背景にある法的な仕組みについて解説します。
執行猶予中に無車検の車を運転するとどうなる?
無車検車両の運転は、道路運送車両法違反に該当し、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。通常であれば罰金刑で済むことが多いですが、執行猶予中である場合、再度の違反は「猶予の取り消し」対象となります。
具体的には、執行猶予中に別の罪で有罪が確定すると、裁判所が猶予を取り消す判断をすることがあります。たとえその罪が比較的軽微であっても、既に下されている前刑の実刑が執行されることになるため、リスクは極めて高いといえます。
無車検車を貸した場合の責任はどこまで及ぶ?
自分が運転しなかったとしても、無車検であると知りながら他人に貸すことも違法です。道路運送車両法における「無車検車両の運行供用者」に該当する可能性があります。
たとえば、知人に貸した車で事故が発生した場合、その事故の重大性や状況によっては、貸した人も共同責任を問われる可能性があります。特に、死亡事故や重大な損害が発生すれば、その影響は免れません。
無車検車による事故と貸主の実刑リスク
知人が無車検車両で単独事故を起こした場合、その人自身が責任を負うのが原則ですが、「貸主が違法性を認識していたか」が問われます。執行猶予中の身であり、かつ違法状態を放置して他人に貸していた場合、責任が重くなる傾向があります。
過去の判例でも、「形式的には事故を起こした者が加害者であっても、提供者側に違法性や注意義務違反が認められた場合、民事・刑事の責任を問われた例」は少なくありません。
弁護士への相談が早期対応の鍵になる
こうしたケースでは、刑事弁護に精通した弁護士に早期に相談することが重要です。弁護士は、猶予取消しを回避する弁護活動や、証拠・証言の整理を通じて、できる限り軽い処分で済むよう働きかけてくれます。
「知らなかった」「軽い気持ちだった」では済まないのが執行猶予中の責任の重さです。少しでも不安がある場合は、地域の法テラスや無料相談会などを活用しましょう。
まとめ:執行猶予中は交通関連の違反でも猶予取消の可能性がある
執行猶予中に無車検の車を運転したり、他人に貸与したりすることは、猶予取消や実刑につながる重大なリスクを伴います。特に、貸した相手が事故を起こした場合は、直接の加害者でなくても責任を問われる可能性があるため注意が必要です。
最も大切なのは、「法的に問題があるかもしれない」と感じた時点で、専門家に相談し、自己判断で行動しないこと。それが将来的なトラブルを防ぐ最善の対策になります。