交通事故に遭った際、「人身事故」か「物損事故」かの届け出を求められることがあります。特に軽度なケガがあるケースでは、どちらを選ぶべきか迷うことが多いです。この記事では、人身と物損の違いと、それぞれの届け出が及ぼす影響について詳しく解説します。
人身事故と物損事故の違いとは?
交通事故の届け出には「物損事故」と「人身事故」の2種類があります。物損事故とは、車両や建物など物に損害があるだけの場合に用いられます。一方、人身事故は人に怪我がある場合に該当し、軽い打撲やむちうちなどでも対象になります。
たとえば、事故後に足を打っただけで済んだとしても、診断書で「全治2週間の打撲」と記載されれば、それは立派な人身事故として届け出ることが可能です。
人身事故として届け出るメリット
人身事故で届け出る最大のメリットは、被害者が治療費・通院交通費・休業損害・慰謝料などを保険会社から請求できる点です。
実際に、軽傷でも診断書を提出し人身事故扱いにしたことで、医療費だけでなく通院に伴う慰謝料(1日あたり4,000〜8,000円程度)が支払われたケースは少なくありません。
人身事故のデメリットと対応手続き
人身事故として届け出るには、医師の診断書を警察に提出し、後日「実況見分」への立ち合いが求められることがあります。この手間や時間が負担に感じられることもあります。
また、加害者側には行政処分(点数加算・反則金等)が科されるため、人間関係に影響する可能性がある点も考慮すべきでしょう。
診断書があるなら人身事故を推奨
今回のように「足の打撲で全治2週間」の診断書がある場合は、人身事故として届け出ることが妥当です。時間が経過すると届け出が受理されにくくなるため、なるべく早く警察に提出するのが望ましいです。
後から痛みが増す場合や、完治に時間がかかる場合もあるため、安易に物損で済ませてしまうと損をするリスクがあります。
物損事故として処理する場合の注意点
一方、軽微な事故で身体にまったく異常がない、または加害者と円満に解決したい場合などは物損事故で済ませることもあります。しかし物損事故では慰謝料の請求はできません。
また、事故後に痛みが出ても「事故とは無関係」と判断されるおそれがあり、医療費を自己負担する羽目になる可能性もあります。
まとめ:状況に応じて適切な判断を
事故直後は気が動転していることもあり、「大丈夫です」と言ってしまいがちですが、少しでも身体に違和感があるなら病院で診断を受け、人身事故として届け出る準備をしておくことが大切です。
診断書が出ている場合は、人身事故として届け出ることで正当な補償を受ける道が開かれます。後悔しないためにも、警察や保険会社に相談しながら冷静に判断しましょう。