物損事故として処理された交通事故であっても、のちに人身事故へと切り替えたいと考える場面は少なくありません。特に相手方の対応が悪かったり、事故後に体調不良を感じた場合には、適切な手続きと判断が求められます。本記事では、物損から人身事故への切り替えが可能なケースや注意点について詳しく解説します。
物損事故と人身事故の違いとは?
物損事故は「人にけががない場合の事故」であり、車や建物などの物的損害のみが対象になります。人身事故は「けがを伴う事故」で、警察・保険会社・加害者・被害者の対応も大きく変わります。
例えば、単に車をかすられただけの事故でも、あとになって首や腰に違和感を感じた場合、人身事故への切り替えが必要となるケースがあります。
人身事故への切り替えは後からでもできる?
はい、事故当日に物損で処理していても、後日人身事故に切り替えることは可能です。ただし、そのためにはいくつかの条件と手続きが必要です。
- 事故発生から原則7日以内に医師の診断を受ける
- 診断書を持参して警察署に提出する
- 事故証明を人身事故扱いへ変更するよう申請
※7日を過ぎても認められるケースもありますが、正当な理由や医師の判断が必要になります。
人身事故に切り替えるメリットとリスク
メリット:
・治療費・通院交通費などが保険で補償される
・慰謝料の請求が可能になる
・加害者への行政処分(違反点数加算等)がなされる
リスク:
・切り替えが遅れると、保険会社や警察が認定を渋る可能性あり
・診断書が曖昧だと人身事故と認められない場合がある
実例:車を軽くかすられた後に症状が出たケース
あるケースでは、「相手の車がバックで当たり、バンパーが軽くかすれたが、後日首に違和感を感じた」という状況で人身事故に切り替えが認められました。
この際、事故から2日後に整形外科で頸椎捻挫と診断され、診断書を持参して警察に届け出たことで、正式に人身事故扱いとなりました。
相手の対応が悪い場合の注意点
加害者が高圧的だったり、示談に応じない場合は、必ず記録(録音・メモ)を取り、保険会社と警察に事実を伝えるようにしましょう。
また、人身事故扱いにすることで相手方に行政処分が加わるため、正当な手続きとして切り替えることは可能です。感情的な理由だけで切り替えるのではなく、体調不良という根拠を医師の診断で裏付けることが重要です。
切り替えの流れまとめ
- 体調に異変を感じたらすぐに病院で診察
- 診断書を発行してもらう(できれば事故との因果関係も明記)
- 警察署へ行き、事故証明の訂正申請をする
- 保険会社に切り替えの旨を連絡
まとめ
物損事故から人身事故への切り替えは、正当な理由と診断書があれば後日でも可能です。
相手の対応が不誠実であったとしても、手続き上は体調不良やけがの有無が重要なポイントとなります。必要に応じて警察や弁護士、保険会社と連携し、適切な対応をとることをおすすめします。