法務局保管の自筆証書遺言:通知のタイミングと実際の手続きの流れとは

自筆証書遺言を法務局に預ける制度は、2020年の法改正により導入されました。これにより、遺言の紛失や改ざんのリスクを軽減し、相続手続きをスムーズに行うことが可能になりました。本記事では、法務局に遺言書を預けた後、相続人などの通知対象者にどのような流れで通知が届くのか、実際の手続きを詳しく解説します。

法務局による自筆証書遺言の保管制度とは

自筆証書遺言の保管制度は、遺言者が生前に法務局へ自筆証書遺言を預けておく仕組みです。遺言書は専門職員のチェックを経て受理され、保管番号が付与されます。

この制度の最大のメリットは、家庭裁判所による検認手続きが不要となる点で、遺言書の内容が迅速に執行されやすくなります。また、遺言者が通知対象者を指定することで、死亡後に速やかに遺言の存在を知らせることも可能になります。

通知が届くまでのタイムライン

遺言者が亡くなると、死亡届が戸籍に反映され、法務局が住基ネットなどの情報と照合して死亡を確認します。この確認が取れ次第、通知対象者に対して「遺言書が保管されています」という内容の通知が発送されます。

この通知が届くまでの一般的な目安は、死亡確認からおおむね1〜2週間程度ですが、法務局の処理状況や郵送事情により若干前後することがあります。

通知を受け取った後の対応方法

通知を受け取った通知対象者は、法務局へ出向き「遺言書情報証明書」の交付を受けることができます。これにより、遺言書の全文とその保管状況が記載された書類を取得できます。

遺言書情報証明書は、金融機関や不動産登記などの相続手続きにも利用可能な正式な書類となります。なお、閲覧や証明書交付には本人確認書類が必要となります。

通知が届かない場合の確認方法

死亡後2〜3週間以上経っても通知が届かない場合、遺言者が通知対象者として登録していなかった可能性があります。この場合でも、法定相続人や利害関係人は、遺言書の有無を法務局で照会することが可能です。

この照会には、遺言者の死亡を証明する戸籍謄本や、自分が相続人であることを示す書類が必要です。事前に予約をしてから来庁するようにしましょう。

通知制度の限界と家族間の備え

法務局の通知制度は便利ですが、万能ではありません。遺言者が通知対象者を指定していない場合や、通知先の住所が古いままで返送されてしまうリスクもあります。

そのため、遺言の保管情報を家族に生前に伝えておくことや、エンディングノートに記載しておくことも重要です。これにより、通知の有無にかかわらず、遺言の所在を家族が把握できるようになります。

まとめ:通知は自動ではないことも理解して備えを

法務局による自筆証書遺言の通知制度は非常に有効な仕組みですが、遺言者の登録や死亡確認のタイミングによって通知が遅れることもあります。

遺言者本人は、信頼できる通知対象者を選び、必要に応じて家族にその存在を伝えておくことが、円滑な相続に繋がるポイントです。

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