旭川医科大学がNTT東日本との電子カルテ開発トラブルで、高裁が約14億1500万円の支払い命令を出した件は、一審判決と真逆の結果になったことで大きな注目を集めています。
地裁判決が被告に甘い理由とその背景
一審・旭川地裁では、大学側(被告)の責任は軽く、むしろNTTの責任が重い判断がなされ、双方に賠償責任を割り振る形でした。
これは発注者・受注者双方の責任を公平に分担しようという判断ですが、高裁の判断とは対照的でした。
高裁判決で大学に全責任とされた理由
札幌高裁では「仕様凍結後にも大学側が要件変更を繰り返したこと」がシステム頓挫の直接原因と断定され、大学側の責任を100%と判断しました:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
この結果、大学はNTTに対し約14億1500万円の支払いを命じられることとなりました:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
なぜ二審で大きく逆転したのか?
主な理由は「仕様凍結合意」の解釈にありました。
高裁はこれを厳格に評価し、要件変更は一切許されないと判断。追加要望にも大学側に協力義務違反があったと認定しています:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
地方裁に“癒着”があったのか?
結論として、地方裁が地域との癒着で甘い判断をしたとは言い切れません。
一審の判断も根拠なしに下されたわけではなく、双方の責任配分に合理性がありました。
逆転の要因は、二審で証拠の解釈や契約内容の捉え方がより厳密になった点にあります。
判決から読み解く法的信頼性のポイント
- 仕様凍結の明文化:後からの要件変更が許されるかどうか明記されているか。
- 協力義務の明示:ユーザー側に明確な協力義務の有無。
- 裁判所の文書解釈:契約文書をいかに正確に読み取るか。
高裁判決はこれらを踏まえ、事実関係に基づいた適正な判断を下したものと評価できます。
まとめ
地方裁が地域との癒着を疑うのは早計です。一審の柔らかな判断は裁量の範囲内にあり、二審での逆転は契約理解と証拠評価の変化によるものと言えます。
裁判所への信頼性を判断するには、判決文の論理展開と事実認定の妥当性を丁寧に読むことが重要です。