ネット上で一度書き込んでしまった内容が思わぬ問題に発展することは、現代では珍しくありません。とくに匿名掲示板やSNSでの企業や個人への誹謗中傷は、トラブルの火種となるケースも。本記事では、書き込み削除の際に感じる「チクられたかもしれない不安」について、弁護士対応の実態と合わせて詳しく解説します。
誹謗中傷の削除依頼と「チクられる」不安の正体
掲示板などに投稿した内容を「やはりまずい」と思い、弁護士を通じて削除依頼をするケースは増えています。このとき、「弁護士が投稿者の情報を第三者に漏らしたのでは」という不安を抱く人も少なくありません。
しかし、弁護士には守秘義務が法律で課されており、本人の同意なく依頼内容や個人情報を外部に漏らすことは固く禁じられています。このため、「弁護士がチクった」ということは原則的にありえません。
削除依頼をきっかけに投稿が特定されるケースも
ただし注意したいのは、投稿削除の手続きそのものが証拠保全の対象となるケースがあるという点です。たとえば、書き込みの相手方が裁判所に「発信者情報開示請求」を行い、プロバイダに対してIPアドレスや投稿者情報の開示を求めた場合、弁護士の依頼とは別に情報が特定されることがあります。
この場合、削除依頼そのものが「通報行為」になるわけではありませんが、時系列的に削除依頼と情報開示請求が重なると「チクられた」と感じることがあるかもしれません。
弁護士とのやり取りで不安が残った場合の対処
今回のように、弁護士から「何もしていない」と言われたにもかかわらず不信感が残る場合は、説明を求めるのではなく確認だけするのが適切です。
例えば「私の情報が第三者に開示されるような手続きは依頼しましたか?」と冷静に尋ねることで、より具体的な説明が得られることがあります。なお、それでも過度な詮索を続けると、弁護士としては守秘義務を守るために「警察に相談する」と告げるケースもあります。
万が一「チクられていた」としてもすぐに罪になるのか?
仮に投稿内容が名誉毀損などの違法性を帯びていたとしても、民事訴訟や示談、注意喚起にとどまる場合も多いのが実情です。
一方で、悪質なケースや執拗な誹謗中傷があった場合は刑事事件に発展することも。これを防ぐには、速やかな謝罪・削除・再発防止の姿勢が大切です。
ネット書き込みの削除は弁護士が安心な理由
自分で削除できない場合に弁護士を通じて対応を依頼するのは、法律的にも安全かつ適正な手段です。プロの目線で適切な文書を作成し、証拠保全を意識した対応を行うため、リスクを最小限に抑えることができます。
ただし、弁護士との信頼関係が築けていないと不安を感じやすくなるため、最初の相談時点で信頼できるかを見極めることも重要です。
まとめ:チクられたと感じたら、まずは冷静に状況を整理
ネット上の過去の書き込みが気になり、弁護士に相談するのは適切な判断です。仮に「チクられた」と感じたとしても、弁護士が勝手に情報提供することは基本的にありません。冷静に対応を振り返り、必要に応じて別の専門家にセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。
今後は、ネットでの発言が思わぬリスクを生むこともあることを理解し、慎重な投稿を心がけましょう。