交通事故に遭った際、警察から「人身事故として処理するか、物損事故として処理するか選べます」と言われることがあります。この選択は今後の手続きや補償に大きく関わるため、慎重に判断することが重要です。この記事では、それぞれの違いや選ぶ際の注意点をわかりやすく解説します。
人身事故と物損事故の基本的な違いとは?
物損事故とは、車両や建物、持ち物など「モノ」に損害が発生した事故を指します。対して、人身事故は「人」にけがや死亡などの被害があった事故です。実際には軽微なケガであっても、人身事故として届け出ることは可能です。
たとえば、打撲やむちうちなど一見大したことがなさそうな症状でも、後から悪化することもあるため、安易に物損事故で済ませてしまうと補償に不利になる可能性があります。
人身事故として届け出るメリット
人身事故で届け出ると、以下のようなメリットがあります。
- 治療費や通院交通費、休業補償などの請求がスムーズ
- 警察による実況見分調書が作成され、過失割合に影響を与える証拠となる
- 慰謝料の請求が可能になる
実例として、事故後に首の痛みが出たが物損事故扱いにしたため、通院しても自己負担となり保険で補償を受けられなかったというケースがあります。
人身事故のデメリットや手続きの手間
人身事故扱いにすると、警察での実況見分の立ち合いや医師の診断書の提出など、多少の手間がかかります。また、加害者側には行政処分(免許点数の加算や反則金など)が発生するため、加害者との関係が悪化する可能性もあります。
しかし、被害者として正当な補償を受けるためには、軽微な手間を惜しまないことが重要です。症状が出ている以上、後の補償請求のためにも早めに診断書を取り、警察に人身事故として届け出ましょう。
警察が「どちらでも」と言ってくる背景とは
軽い事故やけがの症状が軽微な場合、警察官から「物損でも人身でもいいですよ」と選択を委ねられることがあります。これは、事故の重大性を判断しきれない、または現場での手続きを簡略化したいという意図も含まれていることがあります。
ですが、これは被害者にとって不利な結果になる可能性があるため、医師の診断を受けていない段階では即断せず、診断後に人身事故への切り替えを検討するのがベストです。
実際にあった判断ミスとその後の影響
ある20代の大学生が自転車との出会い頭の事故に遭い、軽い打撲程度と感じて物損事故で処理。しかし1週間後に膝に痛みが出て通院を始めたが、人身事故として処理されていなかったため慰謝料の請求が困難に。
診断書を後日提出して警察に人身事故への切り替えを求めたが、事故当日から時間が経っていたため認められず、不満が残る結果に終わったとのことです。
まとめ:自分の体調と今後を考えて選択を
交通事故後の「人身or物損」の選択は、一時的な手間と補償のバランスを冷静に考えることが大切です。特に体に痛みや違和感がある場合は、必ず診断を受け、人身事故として届け出ることで将来的なトラブルや損失を回避しましょう。
迷った場合は、まず病院で診断を受けたうえで、後から人身事故への切り替えを警察に相談する方法もあります。損をしないためにも、初動対応を慎重に行うことが重要です。