交通事故の被害者であるにもかかわらず、加害者側から「過失がある」「逆に賠償せよ」といった主張を受けるケースが近年増えています。特に相手に弁護士がついている場合、心理的な圧力を感じることもあるでしょう。この記事では、信号無視された上にひき逃げされたような場合に、どのように対応すべきか、専門的視点で具体的に解説します。
歩行者の青信号横断と信号無視車両の接触事故:法的原則
歩行者が青信号で横断中に信号無視の車両に接触された場合、基本的には車側に100%の過失が認定されるのが一般的です。特に、ひき逃げという悪質な行為が加わると、刑事責任・行政責任ともに重くなり、被害者側に責任が問われることは極めて稀です。
相手方の弁護士が「あなたの信号無視が原因」と主張してきても、現場の状況や証言、事故当時の信号の状況が証明できれば、相手の主張は覆る可能性が高いです。
相手の弁護士が提示してきた示談書の落とし穴
示談書の内容が「あなたが原因」と書かれている場合、それに署名してしまうと、被害者であるあなたが加害者として認めたことになるおそれがあります。
そのため、いかなる場合でも示談書には専門家の確認なしに署名しないことが重要です。強く勧められたとしても「後日検討します」でその場をしのぎましょう。
過失割合の主張と“逆に賠償請求”されることはあるのか?
加害者側が「高級車が壊れた」「むち打ちになった」として反対に請求してくる例はありますが、正当な過失割合が認定されればその請求は棄却されます。特に信号無視・ひき逃げという重大な過失がある場合、あなたが加害者とされる可能性は極めて低いです。
一方で、目撃者がいないなど証拠に乏しい場合は、加害者側が“立証責任を押し返す”形であなたに主張してくることもありえます。対抗にはやはり法的な準備が必要です。
お金がないときの弁護士対応方法
経済的に余裕がない場合でも、以下の制度が利用できます。
- 法テラス(日本司法支援センター):収入要件を満たせば無料法律相談+弁護士費用の立替可能
- 自動車保険の弁護士費用特約:自分や家族の保険に特約がついていれば、それを使って無料で弁護士を雇える場合あり
- 市区町村の法律相談窓口:30分程度の無料相談が可能な自治体も多数
「相談してから考える」だけでも、精神的・法的負担が大きく軽減されます。
目撃者がいない場合の証拠集めと対応策
事故現場の写真や事故直後のやり取り(LINEや音声記録など)も有力な証拠になります。また、防犯カメラ・ドライブレコーダー映像の確認は、管轄の警察署を通じて請求できます。
また、事故後に「相手側がひき逃げで略式起訴された」という点は重要です。ひき逃げが成立している=加害者側に重大な過失があるという証明になります。
まとめ
・信号無視された上での歩行者事故は、加害者側の過失が圧倒的に大きい
・相手弁護士の主張を鵜呑みにせず、示談は慎重に
・弁護士が雇えない場合でも、法テラスなど公的支援を活用可能
・目撃者がいなくても録音・映像・病院記録など証拠を積み重ねることが重要
不利な立場に立たされる前に、早めに弁護士や法テラスに相談し、自分の権利を守りましょう。