飲食店で提供された食品が原因で食中毒にかかった場合、健康被害だけでなく日常生活や進学・進級にも深刻な影響を及ぼすことがあります。特に入院を伴うような重症化では、学校行事や試験に影響が出ることも。この記事では、飲食店への法的対応と学校側への交渉について詳しく解説します。
飲食店に慰謝料は請求できるのか?
食中毒の原因が明確に飲食店の食品であると証明できれば、慰謝料や治療費、休業補償を請求することは可能です。民法上の「不法行為」(民法709条)に該当し、店側には損害賠償責任が生じます。
実際には、保健所の調査報告や医師の診断書、同様の症状を訴える他の客の存在が大きな証拠となります。まずは保健所に連絡し、発症日時・飲食物の詳細・医療機関での診察記録などを揃えておくとよいでしょう。
慰謝料の相場と請求方法
軽度の食中毒の場合、慰謝料の相場は数万円〜十数万円程度で、重度の入院や長期療養が必要な場合はそれ以上になることもあります。加えて治療費・通院交通費・休業損害などの実費も請求可能です。
請求の流れとしては、
- 保健所への連絡と原因究明
- 医療機関での診断
- 飲食店への内容証明郵便などでの請求
- 話し合いで解決できない場合、民事訴訟の検討
と進みます。弁護士への相談も有効です。
学校の試験が受けられなかった場合はどうなる?
食中毒による入院や通院のために学校の定期試験や入試などを欠席した場合、医師の診断書を提出すれば追試などの措置を受けられる可能性があります。特に公立中高や大学では、本人の責によらない欠席について柔軟に対応される例が多くあります。
ただし、学校ごとに対応は異なるため、必ず担任や教務担当者に事情を説明し、正式な文書(診断書・入院証明書など)を添えて相談しましょう。
実際のトラブル事例
大学生が飲食店の鶏肉料理でカンピロバクター感染により3日間入院。卒業試験を欠席することになり、主治医の診断書と保健所の報告書をもとに追試を申請。大学側は事情を考慮し、代替試験を認めました。
一方、同じく高校生が入院中に中間試験を受けられず、診断書の提出が遅れたことで成績に反映されないケースもありました。迅速な報告と文書提出が重要です。
防ぐための意識と行動
利用する飲食店の衛生状態を日頃から意識することはもちろん、食中毒を疑った時点ですぐに医療機関を受診し、証拠となるレシート・写真・診察記録を保管することが大切です。
また、集団での食事会や学校行事などで発症が多発した場合には、集団感染の可能性もあるため、迅速に関係機関へ報告することが求められます。
まとめ:食中毒による被害は法的・教育的に救済される余地がある
飲食店での食中毒被害は、適切な証拠と手続きを踏めば慰謝料などの請求が可能です。また、学校での試験対応についても、正当な理由があれば追試や代替措置が認められることが多いです。被害に遭った場合は、慌てず医療機関と行政機関に相談し、記録をしっかり残しておくことが、救済への第一歩となります。