交通事故の過失割合が8:2でも治療費は払われる?加害者が否定しても成立する損害賠償の原則

交通事故の被害に遭った際、たとえ加害者の過失が高くても「大した事故じゃないから治療費は出さない」と言われることがあります。では、加害者がそのように主張してきた場合でも、法的に治療費は請求できるのでしょうか?本記事では、交通事故における損害賠償の基本と、過失割合が8:2だった場合の実務上のポイントを解説します。

加害者が治療費を支払わないと主張した場合の法的扱い

交通事故において、加害者が「怪我するはずがない」と主張しても、法的には医学的証拠と事故との因果関係で判断されます。損害賠償は当事者の主観ではなく、診断書や治療記録といった客観的証拠によって進められます。

したがって、事故後に医師の診断を受け、けがの事実が証明されていれば、加害者の「軽い事故だった」という発言は基本的に無効です。

損害賠償の仕組みと過失割合の関係

事故の損害賠償額(治療費・慰謝料など)は、過失割合に応じて按分されます。過失8:2であれば、被害者は加害者に対して自己の損害額の80%を請求する権利があります。

残りの20%は自己負担となるため、任意保険(人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険)がカバーすることもあります。

治療費を否定された実例とその解決方法

例えば、加害者側が「バンパーが少し当たっただけ。けがなどあるはずがない」と主張したケースで、被害者が頸椎捻挫(むち打ち)と診断され、2週間の通院を行った実例があります。

このケースでは、被害者が保険会社に診断書と通院履歴を提出した結果、加害者側の保険から治療費と慰謝料が支払われました。加害者本人の発言に法的な効力はなく、保険会社・裁判所は証拠に基づいて判断します。

示談交渉や保険会社対応の実務

事故後は通常、加害者側の任意保険会社が窓口となり、被害者と損害賠償の交渉を行います。被害者としては、下記を意識しましょう。

  • 診断書や通院記録をきちんと保管
  • 事故状況や体調の変化をメモに残す
  • 示談前に慰謝料・治療費の妥当性を確認

相手の主張が不当な場合は、弁護士や交通事故相談センターへの相談も視野に入れると安心です。

加害者の支払い拒否と対応策

万が一、加害者が保険に入っておらず、支払いを拒否する場合は、自賠責保険(強制保険)を使って被害者請求を行うことができます。

また、法的措置として「損害賠償請求訴訟」を起こすことも可能です。特に過失が8割と高い側が無責任な態度を取る場合、裁判所を通じて強制力を持たせる方法が有効です。

まとめ

交通事故において加害者が「こんな事故でけがはしない」と言い張っても、それが損害賠償の可否に影響することはありません。

重要なのは、医学的な証拠と事故との因果関係、そして保険会社や法律による客観的な判断です。適切な証拠と手続きにより、過失8:2の事故でも正当な治療費を請求することが可能です。

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