車の名義変更前に事故が起きたら?損害賠償責任の考え方と注意点を解説

車を他人に譲渡する際、名義変更や保険のタイミングは非常に重要です。とくに譲渡後、名義変更や保険手続きが済んでいない間に事故が発生した場合、誰が損害賠償責任を負うのかという点でトラブルが生じやすくなります。この記事では、車の譲渡・名義変更・保険解約と事故責任の関係について解説します。

名義変更前に事故が起きた場合の責任の所在

車の名義がまだ元の所有者のままであっても、実際に車を運転していた人物が原則として事故の責任を負います。民事上の損害賠償義務や刑事責任(過失運転致傷など)は、運転者本人が負うのが基本です。

しかし、名義上の所有者が「使用者」として見なされる場合、自動車損害賠償保障法第3条の「運行供用者責任」が問われ、名義人にも一定の賠償責任が及ぶ可能性があります。

運行供用者責任とは何か?

「運行供用者責任」とは、自動車の保有者がその車の運行に関して責任を負うというものです。事故当時に名義が変更されていない場合、「まだ所有している」と見なされ、名義人が被害者への賠償責任を問われる可能性があります。

特に次のようなケースでは、運行供用者と判断されるリスクが高まります。

  • 事故当時、名義変更手続きが未了
  • 新しい所有者が保険未加入・名義未変更
  • 旧所有者が保管場所や整備を手配していた

保険が解約済みだった場合の影響

自賠責保険は車両に紐づくため、通常は契約期間中に自動的に継続されますが、任意保険を解約していた場合、新しい使用者が事故を起こしても、保険会社からの補償は一切受けられません

そのため、賠償金の全額が自己負担となり、運転者本人および名義人が連帯して請求される可能性もあります。保険解約前に譲渡相手が保険加入済みかどうかを確認することが重要です。

実例:名義変更前の事故で旧所有者に請求が来たケース

ある事例では、車を譲渡後に相手が事故を起こし、名義変更が完了していなかったため、旧所有者が保険会社から「運行供用者」として訴えられたケースがあります。このとき、旧所有者が「譲渡後に一切車を使用していない証拠」を提出することで、最終的には免責されました。

譲渡日や相手の運行管理状況などの記録を残すことがトラブル回避につながります。

事故が起きる前にすべき3つのポイント

  • 名義変更は譲渡日当日または直後に必ず行う
  • 保険(特に自賠責)を名義変更後も継続しておくよう確認
  • 譲渡契約書や引渡し証明書を作成し、譲渡日を明記する

まとめ:名義と責任は必ず一致させよう

事故の責任は原則として運転者が負いますが、名義人が形式上の保有者とされる限り、賠償請求の対象になり得ます。保険の未加入や名義未変更の状態では、損害をカバーできず大きなトラブルになる恐れもあるため、譲渡時には名義・保険・証拠書類の管理を徹底することが大切です。

法的なトラブルを未然に防ぐためにも、譲渡時は慎重な手続きと記録の保存を心がけましょう。

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