交通事故での受診と第三者行為届け出の正しい手続きとは?

交通事故によりけがをした際に、健康保険証を使って受診する場合には、通常の医療とは異なる取り扱いが発生します。とくに「第三者行為による傷病届」などの手続きが必要になることを知らないと、後日トラブルになる可能性も。今回は、職場で起きた交通事故に伴う医療受診や保険手続きについて、基本から解説します。

交通事故を受診時に申告する必要はあるのか?

交通事故によるけがで病院を受診する場合、必ず「交通事故による負傷」であることを病院・医師に伝える必要があります。これは健康保険組合や国保が「加害者がいる事故による治療」を特別に扱うためであり、正確な情報提供が前提になります。

たとえば、加害者がいる交通事故で健康保険を使って受診した場合、後に保険者から「第三者行為による傷病届」を提出するよう指示されます。これを怠るとトラブルにつながる可能性があります。

第三者行為届け出と国費返還義務について

交通事故の被害による受診に健康保険を使った場合、保険者は一時的に医療費を立て替えることになります。この立替分(7割)は本来、加害者側が負担すべき費用となるため、被保険者は「第三者行為による傷病届」を速やかに提出する必要があります。

保険者はこの届出をもとに加害者へ請求するため、被害者側が返金するのではなく、「加害者から保険者へ」請求が移る仕組みになります。

事故の程度と「大事故・微事故」の分類について

事故の規模を「大事故」「微事故」などと分類することがありますが、これは法律上の定義ではなく、あくまで事故報告書や社内処理に用いられる用語です。たとえば。

  • 大事故:人身事故、重傷、対物損害が大きい場合
  • 中事故:軽傷や車両損傷のみで修理費が中程度
  • 微事故:軽微な接触で物損がほぼなし

本件のように「自損・軽傷・通院あり」は中事故に分類されることが多いでしょう。

第三者行為届を出したら揉み消し不可?リスクは?

一度、第三者行為による届出を行うと、記録として保険者側に残ります。そのため「事故がなかったことにしたい」「損害賠償請求されるか不安」としても、制度上取り下げや非開示は困難です。

ただし、加害者が家族や職場の同僚であり、当人同士の示談が済んでいる場合、保険者が請求を見送ることもあります。そのため、届出内容や補足説明を丁寧に行うことが大切です。

まとめ:交通事故と医療保険制度の正しい理解を

交通事故による通院では、「交通事故である」と申告し、第三者行為による傷病届を提出することが原則です。この手続きを怠ると、健康保険の不正利用と判断されかねません。

事故の程度に関係なく、事実を正しく申告することが自身を守る最善策です。もし不安な場合は、加入している健康保険組合や社会保険事務所に相談しましょう。

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