多重追突事故、いわゆる玉突き事故に巻き込まれると、どの車両にどれだけの過失があるのかが大きな関心事となります。特に、最後尾の車両がどこまで責任を負うのかは、事故状況によって異なります。本記事では、典型的な4台による玉突き事故の事例を元に、過失割合の考え方をわかりやすく解説します。
玉突き事故の基本構造と責任の原則
追突事故では基本的に「後続車が前方不注意だった」として後ろの車に過失があるとされることが多いです。特に多重衝突では、前の車両が止まっていたか・急停止だったか・それぞれが独立してぶつかったかといった点が重要になります。
一般的には、車両ごとに独立した追突であれば、それぞれの追突行為に個別の過失が認められます。
ケーススタディ:4台の玉突き事故
今回の想定される状況は以下の通りです。
- ①車が急ブレーキ
- ②車が①車に追突
- ③車が②車に追突
- ④車(弟)が③車に追突
このような場合、追突した順序や車両間の距離、衝突のタイミングが過失割合に影響します。
各追突が独立して起きたと判断される場合、それぞれの追突に個別責任が発生し、④車の弟は③車に対してのみ過失を負うことが一般的です。
過失割合の例:④車が③車に追突した場合
たとえば、④車の衝突によって③車が②車や①車に押し出されたわけではないことが明らかであれば、弟の過失割合は③車に対するもののみで済みます。この場合、弟は以下のような対応になることが考えられます。
- ③車との事故についての過失割合は一般的に「100:0」
- 被害車両③の修理代や治療費を④車が負担
- ②車や①車との接触がなければ、④車に対する請求はなし
逆に④車の衝撃で③→②→①と連鎖的に押し出された場合は、それぞれの車への補償責任が発生する可能性があります。
実例に学ぶ判断のポイント
保険会社では、以下のような要素から過失割合を判断します。
- ドライブレコーダー映像の有無
- 警察の事故現場調書
- 物理的な損傷位置(後部か前部か)
- 事故の連続性・同時性の有無
たとえば、③車の後部だけが損傷し、前方にはダメージがなければ、④車の衝突による影響が②車や①車に波及していないと判断されやすくなります。
玉突き事故における正しい初動対応
事故直後には、必ず次の行動を取りましょう。
- 110番通報し、警察を呼ぶ
- すべての関係車両の運転手・同乗者と連絡先を交換
- 現場写真・ドライブレコーダー映像を保存
- 事故内容を詳細にメモしておく
こうした証拠が、後の過失割合の交渉や保険対応に大きく役立ちます。
まとめ:事故の構造を明確にし、証拠をもとに判断を
4台による玉突き事故であっても、それぞれの追突が独立していたのか、それとも連鎖的な衝突だったのかで、過失の割合は大きく変わります。
弟の車が③車のみに接触したのであれば、その事故に関する責任だけを負う形になりますが、最終的には保険会社同士の協議や警察の調書によって確定されるため、初動の対応と証拠の確保が何より重要です。