運転中に他の車を避けようとして自分の車を壁やフェンスにぶつけてしまうケースは、都市部や狭い道路などで意外とよくあるものです。特に、対向車の走行が乱暴だった場合、自分に過失があるのかどうか不安になる人も多いでしょう。この記事では、そうした場面における法的責任や対処法について解説します。
避けた先での接触事故の責任はどこにある?
まず大前提として、車を運転する際は常に安全な位置取りと周囲確認が求められています。そのため、自分の意思で左に寄せてフェンスに接触した場合、自損事故と扱われるのが基本です。たとえ対向車が明らかに反対車線にはみ出していたとしても、ぶつけたのが他車ではなく構造物である以上、「自分の判断で接触を招いた」と見なされます。
しかし、全く過失がないとも限りません。対向車の走行が著しく危険だった場合、防犯カメラやドライブレコーダーの映像によっては、相手の運転に起因した状況と証明できる可能性もゼロではありません。
実例:狭い交差点で避けて接触したケース
たとえば、東京都内で実際に起きた事例では、住宅街のT字路で右折してきた車を避けようとした運転者が、左に寄せすぎてガードレールに接触。車には軽い擦り傷がつき、ミラーが動いたものの損壊はなし。相手車両はそのまま通過しており、事故には気づかなかったようでした。
このようなケースでは、事故としての届け出はせず、修理費用も発生しなかったため実質的な処理はありませんでしたが、保険会社に相談した結果、「過失割合を問う段階には至らない」と判断されました。
交通法上の考え方と保険の対応
日本の交通法では、「予見可能性」と「回避可能性」が重要なキーワードになります。予見できた状況で回避が困難でなかったのに事故になった場合、運転者の注意義務違反と判断される可能性が高いです。
自損事故扱いであっても、車両保険に加入していれば修理費用を補償してもらえる場合があります。特にドアミラーの損傷は部分修理が可能なため、保険を使わずに実費で修理する人も少なくありません。
ぶつかった際の音で損傷を判断するのは危険
「ペットボトルを踏んだような音がした」という場合、軽微な接触であることが多いですが、車両の素材や衝撃の角度によっては目に見えない内側の損傷やミラーの内部構造にダメージがある可能性もあります。
一見して異常がなくても、念のためディーラーや修理工場でチェックを受けることをおすすめします。特に電動ミラーなどの機構が組み込まれている場合、後から不具合が出ることもあります。
まとめ:冷静な対応と状況証拠の確保がカギ
他車を避ける際に起きた自損事故では、自分にある程度の過失が問われるのが原則ですが、相手の走行が危険であった場合には録画映像や現場状況の記録が重要になります。
事故が起きた場合は、たとえ目に見える損傷がなくても、その場で状況を記録しておくこと、必要に応じて保険会社や修理工場に相談することで、後々のトラブル回避につながります。