会社経営者が急逝した場合に親族がとるべき対応とは?株式相続と事業承継の進め方

身内が急逝し、その方が会社を経営していた場合、残された親族は突然「経営」や「株式相続」といった重大な課題に直面することになります。とくに企業オーナーが独身で、相続人が親のみというケースでは、会社経営の知識や意志がない中での判断が必要になるため、混乱しやすい状況です。本記事では、経営者が急逝した場合に家族がとるべき対応について、わかりやすく解説します。

まず確認すべきは「株式の保有状況」と「遺言書」の有無

故人が株式会社の経営者であった場合、その会社の株式は個人資産の一部と見なされ、他の財産と同様に相続の対象となります。まずは故人が所有していた株式の割合を確認し、そのうえで「遺言書」が存在するかを確認することが重要です。

たとえば、ご質問のように3割を所有していた場合、その議決権を引き継ぐことになります。残りの株主構成によっては、経営への影響力が大きい場合もあります。

経営に関与しないなら「株式の相続放棄」または「譲渡」も選択肢

相続人が会社経営に関与する意思がない場合でも、株式を相続することで経営権に関わる義務や責任が発生する可能性があります。したがって、以下の選択肢が現実的です。

  • 相続放棄(全財産の放棄になるため慎重に)
  • 株式だけを譲渡する(会社や他の株主との調整が必要)
  • 信頼できる役員に議決権委任や株式譲渡する

どの選択をとるかは、他の株主や役員との関係性、会社の定款などによって異なります。

遺産分割協議で「会社株式の扱い」を明確に

相続人が複数いる場合(例:親・兄弟など)、遺産分割協議書に株式の扱いを明確に記載する必要があります。このとき、会社の株式が分散すると経営の意思決定に支障が出ることもあるため、単独相続や買い取りによる調整が行われることもあります。

また、会社側の立場としても、株主が変更されると取締役会や株主総会への影響が出るため、早急な対応が求められます。

会社の現場対応:社員が回している状況をどう考えるか

ご質問では「部下が回している」とのことですが、会社の法的運営には代表取締役の選任や登記、金融機関対応など正式な手続きが必要です。実務的には社員が回していても、法的には代表者の不在はリスクとなるため、臨時株主総会で後任代表を選任するなどの対応が急務です。

このような場合、顧問税理士や弁護士、司法書士の支援を受けることでスムーズな対応が可能になります。

相続税・贈与税の視点からも慎重な判断が必要

会社株式の評価額によっては、相続税の課税対象となる可能性もあります。とくに非上場企業の株式は評価が難しく、専門家による評価や申告が必要になるケースも多く見られます。

また、会社によっては「事業承継税制」の適用を受けることで、相続税の猶予が可能な場合もありますので、税理士などへの早期相談が重要です。

まとめ:経営に関与しない親族でも法的責任が発生することに注意

経営者の急逝後は、会社経営の継続と法的な相続手続きが同時進行で求められることになります。親族が経営に携わる意思がない場合でも、株式相続により一定の責任が発生するため、専門家と連携して対応を進めることが不可欠です。

「経営には関与しないが会社には迷惑をかけたくない」という気持ちがある場合こそ、法的・税務的に最善な判断が求められます。まずは司法書士や弁護士、税理士といった専門家に相談し、今後の方針を整理してみましょう。

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