相手側の弁護士が嘘をついているように感じたら「これって詐欺では?」と思うかもしれません。本記事では、弁護士が嘘をつける範囲やその限界、もし嘘や欺きが疑われる場合に知っておくべき法律や倫理規範を、実例や具体例も交えてわかりやすく解説します。
弁護士にも「嘘をついてはならない」ルールがある
日本の弁護士は、「弁護士職務基本規程」第75条により、偽証や虚偽陳述をそそのかしたり、虚偽と知りながら証拠を提出したりすることは禁止されています :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
これは消極的真実義務と呼ばれるもので、裁判所・検察の実体的真実の発見を妨げてはならないとしています :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
「消極的真実義務」と「積極的真実義務」の違い
積極的真実義務とは、事件の真相を積極的に明らかにする義務ですが、これは憲法上の被告人の黙秘権にも関係し、弁護士に課せられるものではありません :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
一方、消極的真実義務は、嘘や虚偽の提出物を避ける義務であり、虚偽証拠をあえて出す行為は明確に禁止されています :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
嘘でも「代理人としての主張」は許されるのか?
弁護士が、事実に基づかない主張を“代理人として”行うことと、意図的に嘘をつくことは異なります。
判例や倫理では、弁護士が被告の無罪請求などを主張すること自体は違法ではなく、消極的真実義務に反しない限り問題ないとされています :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
相手弁護士が「こちらに義務がある」と脅すような言動は違法?
弁護士が虚偽や「義務を負わせる」として脅迫じみた主張をしてきた場合、それが虚偽の風説流布に当たれば信用毀損罪や偽計業務妨害罪の可能性もあり得ます :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
ただし、単に強気な主張や交渉術としての牽制であれば、刑事罰の対象となるかは慎重な判断が必要です。
実例で理解する「嘘と主張の境界」
例えばAさんが離婚協議中に弁護士から「あなたには義務があります」との内容証明が届いた場合。
これは、法的根拠がなければ単なる交渉戦略や牽制であり、嘘による詐欺や犯罪行為とまではいえないことが多いです。ただし内容によっては刑事罰の対象となる場合もあります。
もし弁護士の虚偽や詐欺が疑われたらやるべきこと
- 録音・記録:証拠として残す
- 別の弁護士に相談:客観的助言を得る
- 懲戒請求や通報:日弁連への相談・手続き
まとめ:弁護士は嘘“できない”が、主張は戦略として許容される
弁護士には消極的真実義務があり、嘘の証拠提出や偽証をそそのかす行為は明確に禁止されています。
しかし、裁判や交渉における代理人としての強い主張や牽制は許容される範囲です。相手弁護士に嘘を感じたら、記録を取り、専門家に相談して冷静に対応しましょう。