住宅街などでよく見られる一時停止標識や停止線のない狭い交差点。そこで起きた出会い頭の事故では、どちらにどれくらいの過失があるのか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、こうしたケースにおける過失割合の基本的な考え方と、判断材料となる要素について具体的に解説します。
一時停止標識・停止線がない交差点での過失割合の基本
まず前提として、一時停止の標識や停止線がない交差点では、道路交通法第36条(交差点における優先関係)に基づいて優先関係が判断されます。具体的には次のようなルールがあります。
- 交差点に進入する際、どちらの道路が優先道路か
- 道路の幅員の違い(広い道路が優先)
- 左方車優先(お互いが一般道路なら左から来る車が優先)
よって、道路に優先性が明示されていない場合、「左方優先」の原則が基本となります。
道路が狭い交差点の場合の特徴
本件のように「車1台が通れる幅の狭い十字路」で出会い頭に事故が起きた場合、両者に十分な減速義務・安全確認義務があるとされ、どちらか一方に明確な優先性がないと判断されることが多いです。
そのため、過失割合は50:50を基本としてスタートし、状況によって修正される形になります。
修正される可能性がある要素
以下のような条件が加わることで、過失割合が修正される場合があります。
- どちらかがスピード超過だった
- 徐行義務を怠っていた
- 左側から進入したか右側からか
- ドライブレコーダーなどで明らかに一方が安全確認不足
- 車両の大きさや交通量の差
例:左方車であるAが徐行していたのに対し、右方車のBが一時停止せず飛び出した場合、B側の過失が大きくなり、A30%:B70%程度の割合になることもあります。
過失割合の算定例:実際の交通事故例より
例1:幅2.5mの私道同士の交差点での接触事故。双方に優先性がないため基本50:50とされたが、B車が脇見運転をしていたため最終的にA40%:B60%に修正。
例2:車1台分の幅しかない狭路で、Aが徐行中、Bがスピードを出して突入。Bの一時不停止が記録されていたため、A20%:B80%で決着。
トラブルを防ぐために必要な行動
こうした事故では、「自分に非はない」と感じても、相手や保険会社との見解が食い違うケースがよくあります。そのためには。
- ドライブレコーダーの映像を保管する
- 事故後すぐに現場を写真撮影する
- 事故状況を簡潔にメモしておく
- 保険会社へ正確な情報を共有
これらを行うことで、後の過失割合の交渉や示談がスムーズに進む可能性が高まります。
まとめ:狭い交差点では50:50が基本、状況で調整も
一時停止や停止線がなく、車1台分の幅の十字路で起きた出会い頭事故では、原則的に過失割合は50:50とされます。ただし、徐行義務違反・左方優先・安全確認不足などがあれば、その内容に応じて修正が加えられます。
納得いく交渉を行うためにも、事故直後の証拠確保と記録が非常に重要です。