交通事故の現場を目撃してしまい、その映像が頭から離れず、不安や恐怖にとらわれることは決して珍しいことではありません。とくに、ぐちゃぐちゃになった車を見た直後には、自分や大切な人が同じ目に遭うのではと考え、感情が押しつぶされそうになることもあります。
事故の記憶が残るのは自然な反応
事故現場のような衝撃的な出来事を目撃した場合、脳はその記憶を「危険を知らせる情報」として優先的に保存します。これは人間の防衛本能によるもので、むしろ正常な反応です。
特に感受性が高い人ほど、ショックを受けた映像がフラッシュバックしやすく、2週間以上たっても記憶が鮮明なまま残ることはあります。
心のケアが必要なときのサイン
記憶が繰り返し蘇ったり、不安で夜眠れない、日常生活に支障をきたすようであれば、心のケアを受けるタイミングかもしれません。たとえば以下のようなサインに気づいたら要注意です。
- 事故現場の映像が何度も頭に浮かぶ
- 高速道路や車を見ると体が強張る
- 事故と関係ない場面でも不安を感じる
- 過剰なまでに家族の移動に対して不安になる
このような状態が続く場合、心療内科やカウンセラーに相談するのも一つの手です。
恐怖心を軽くする具体的な行動
事故の記憶を消すことはできませんが、その記憶に振り回されずに生きていくための方法はあります。次のような行動が効果的です。
- 誰かに気持ちを話す（信頼できる友人、家族、専門家）
- 安心できるルーティンを作る（朝散歩、ストレッチなど）
- 呼吸を整えるマインドフルネス瞑想
- 信頼できる情報に触れる（交通安全の統計など）
たとえば、実際に高速道路を利用しても安全に移動している人がほとんどであるという統計を見ることで、「感情」ではなく「事実」で不安を和らげることができます。
家族への不安との向き合い方
「大切な家族が事故に遭うかもしれない」と思ってしまう気持ちは自然です。ただしその不安が強すぎると、相手の行動を制限しすぎてしまい、お互いにとってストレスになりかねません。
そのようなときは、「自分にできることは何か？」と考えてみましょう。たとえば、高速道路を使う家族には安全運転をお願いする、定期的に休憩を取るよう促すなど、建設的なアプローチに置き換えると少しずつ心が落ち着いてきます。
専門機関や相談窓口を活用しよう
もし事故後の不安や恐怖が続く場合は、厚生労働省の「こころの耳」など、信頼できる相談窓口を利用するのがおすすめです。
また、PTSD支援団体も存在し、交通事故のトラウマに関する支援も行っています。話を聞いてもらうだけで、心が軽くなることも多いのです。
まとめ：事故の記憶は消せなくても、付き合い方は変えられる
高速道路での事故を目撃した衝撃は、時間が経っても簡単には消えません。しかし、それに対してどのように向き合うかで、心の負担は大きく変わってきます。
まずは「自分の気持ちを否定しない」ことから始め、少しずつ日常を取り戻していく方法を探していきましょう。不安を共有できる誰かがそばにいるだけでも、心はきっと軽くなります。