長く一緒に生活していたパートナーとの同棲を解消する際、多くの人が直面するのが家具や家電といった「共有財産」の清算問題です。愛情があった関係だからこそ、お金の話で揉めたくないものですが、モヤモヤを残さないためには冷静な判断と適切な取り決めが必要です。
共有財産とは?同棲中に購入したものの扱い
婚姻関係がないカップルであっても、同棲中に2人でお金を出し合って購入した家具や家電は「共有財産」とみなされることが一般的です。そのため、どちらか一方が使い続ける場合は、もう一方に対して買い取りという形で金銭のやり取りをすることが合理的です。
この場合、重要なのは「どのような割合で購入費用を出したか」「使用年数や劣化状態をどう評価するか」などの明確な基準を設けることです。
よくある精算パターンとその考え方
同棲解消時の清算方法として、次のようなパターンが考えられます。
- ① 原価をそのまま半分にして買い取る(例:100万円のうち50万円で買い取り)
- ② 原価から使用期間を考慮して減額し、その半額で買い取る(例:100万円 → 使用1年で20%減 → 80万円 → 半額の40万円を支払う)
- ③ 原価から使用減価を引いた全額を片方が支払う(例:2人で50万ずつ出資 → 現価80万円 → 80万円全額を所有側が支払う)
それぞれ一理ありますが、トラブル回避のためには「誰が何にどれだけ出資したか」を前提に計算するのが妥当です。
このケースで考えられる妥当な精算方法
質問の事例では、「100万円を折半して購入し、1年使用後にどちらかが全てを引き取る」という形です。この場合、
① 使用による価値の減少(たとえば20%減)を全体に適用し、② その残存価値を半分ずつ負担と考えるのが現実的でしょう。
つまり、100万円 × 0.8(20%減)= 80万円 → その半額40万円が「相手に支払うべき妥当な金額」だといえます。
一方で、彼氏の主張は「すでに半額しか出していないから、残り半額の20%オフ、つまり40万円 × 0.8 = 32万円だけ払えばいい」という理屈で、これは買い取る側にとって有利すぎる計算です。
感情と現実の折り合いをどうつけるか
お金の話は感情に触れやすいものですが、感情的な判断ではなく、契約・事実・合理性を基に整理することが大切です。
実際、婚姻関係がない同棲の場合、民法上の共有物の扱いや不当利得の考え方が基礎となります。話し合いで妥結できない場合、内容証明や弁護士の助言を受けるという方法もあります。
第三者の視点を取り入れることの大切さ
どうしても当事者間では公平な判断が難しいため、法律相談サービスや、法テラスなどを利用するのも有効です。少額であっても「モヤモヤ」を残さないためには、公正なプロセスが役立ちます。
まとめ
・同棲中に購入した家具家電は基本的に「共有財産」扱いとなる
・精算時には使用年数による減価と出資割合を基準にするのが妥当
・感情で決めず、事実に基づいた冷静な話し合いが大切
・難しい場合は弁護士や相談機関の利用も視野に入れる
・自分の主張に自信が持てるよう、記録や計算根拠を整理しておこう