お金を貸した相手に現在支払い能力がない場合でも、将来的にその人が働き始めて収入を得る可能性はあります。そのとき、法的にお金を回収することは可能なのでしょうか?この記事では、弁護士を通じた債権回収の現実と、分割や一括での請求方法、さらに債務者に支払い能力ができた後の対応について詳しく解説します。
支払い能力がない相手への請求は可能か?
結論から言えば、法的に請求すること自体は可能です。ただし、相手に現在支払い能力がなければ、判決を取っても実際に回収できるかは別問題です。
民事訴訟で勝訴判決や債務名義(公正証書など)を得ておけば、将来相手に資産や収入ができたときに差し押さえなどの手段を取ることが可能です。
時効を避けるためにしておきたいこと
貸金債権などは原則5年で消滅時効になります。ただし、時効完成前に内容証明で請求を行ったり、裁判を起こして時効の中断(更新)を行うことができます。
相手に支払い能力がなくても、将来の回収を視野に入れるなら、時効対策を講じておくことが非常に重要です。
弁護士に依頼するタイミングとメリット
支払い能力がない場合でも、弁護士に相談するメリットは大きいです。弁護士は以下のような対応を行えます。
- 内容証明郵便による催告
- 公正証書作成の支援(将来的な強制執行が容易に)
- 訴訟手続きの代理
特に公正証書を作成しておけば、相手が支払わなかった場合に裁判なしで給与や預金の差し押さえが可能になります。
相手が働き出してからの回収手続き
将来的に相手が働き出し、銀行口座や給与などが確認できれば強制執行手続きが実行可能です。これは、債務名義をすでに持っていれば迅速に対応できます。
差し押さえ可能なものとしては、給与、預金、不動産などがありますが、生活保護受給者などからは実質的に回収できません。
分割請求と和解の可能性
裁判を起こさずとも、弁護士が交渉により分割払いの合意を取り付けることも可能です。この際に、合意内容を公正証書にすることで、支払いが止まった場合の法的手続きが容易になります。
実例として、「月々1万円を24回払い」で和解するケースもあります。相手の収入に応じて現実的な支払い方法を提示することがポイントです。
まとめ:将来の回収には今の準備が鍵
- 現在支払い能力がない相手にも、法的請求や訴訟は可能
- 時効の中断措置を講じておくのが重要
- 弁護士を通して債務名義を取得することで、将来の差し押さえに備える
- 分割払いや公正証書での合意形成も有効
今すぐの回収が難しくても、「将来の支払い能力獲得」を見越して、着実に法的準備を進めておくことが債権保全のポイントです。