中小企業間の取引において、代金未払いが発生した場合、特に相手方が倒産のリスクを抱えていると状況は非常に深刻になります。この記事では、相手が「弁護士を通せ」と言って支払いを渋っている状況下で、債権を回収するための具体的な対応方法を解説します。
まず確認したい「契約書」「請求書」「証拠書類」
回収行動に移る前に、以下の書類が揃っているかを確認しましょう。
- 請負契約書や工事請負契約に関する覚書
- 請求書(発行済か)
- 納品書や工事完了報告書などの履行証拠
これらの資料は法的な請求の根拠として極めて重要です。
書面が無くても、メールやLINE、チャットなどのやりとりでも証拠となる場合があります。時系列で保存しておきましょう。
相手が弁護士を出してきた場合の対応
相手方が「弁護士を通してくれ」と主張する場合、対応の基本は次の通りです。
- 内容証明郵便を送付する
- 自社側でも弁護士に依頼し、正式な債権回収手続きを取る
- 状況によっては民事調停や訴訟も視野に入れる
特に相手に代理人弁護士が付いている場合は、こちらも法律の専門家を通じて交渉を行うのが望ましいです。
倒産リスクが高い相手に対して急ぐべきこと
支払いを拒否し、さらに「倒産しそう」といった情報がある場合は、速やかに次の対応を検討しましょう。
- 仮差押えの申し立て:資産隠しを防ぐ措置
- 公正証書の作成:支払い合意があるなら将来の強制執行に有効
- 支払督促:裁判所から簡易的に支払い命令を出してもらう手続き
「倒産したら回収不能」というリスクを最小限にするため、迅速な判断が求められます。
債権回収の実例:A社がB社に450万円請求している場合
今回のケースでは、A社がB社に対し工事代金450万円の請求権を有しており、B社がそれに応じず弁護士を通せと主張しています。
この場合の対応手順の一例。
- 証拠書類を整理(契約書、請求書など)
- 内容証明で正式な請求
- 応じなければ支払督促 or 訴訟へ移行
- 勝訴判決 or 公正証書取得後、差押え等の強制執行を申立て
弁護士費用がかかりますが、450万円という金額であれば費用対効果のバランスも取れる可能性があります。
債権回収に強い専門家への相談が鍵
状況が複雑で自社だけでは判断がつかない場合、法テラスの無料法律相談や、中小企業庁が運営する支援制度も利用可能です。
特に相手が倒産する前に法的手段を講じることが、回収の成否を分ける重要なポイントになります。
まとめ:支払いを受けるにはスピードと証拠が鍵
- 未払いがある場合、契約書・請求書・証拠をすぐに確認
- 相手に弁護士が付いたらこちらも弁護士を立てて交渉
- 倒産しそうなら仮差押えや訴訟も視野に
- 速やかな行動が回収率を大きく左右する
「弁護士を通してくれ」と言われた時点で、相手が本気で支払う気がない可能性もあります。迷わず専門家に相談し、最悪の事態になる前に動きましょう。