白線のない道路、つまり横断歩道の設置されていない箇所を歩行者が横切る場面は、都市部でも地方でも日常的に見られます。しかし、その行動が原因で自転車や車との事故が発生した場合、法的・道義的にどのような責任が発生するのでしょうか?今回は、白線のない道路での歩行と車両との関係について、安全面や法律の観点から詳しく解説します。
白線の有無に関わらず歩行者も注意義務がある
道路交通法第1条では、すべての道路利用者に「安全で円滑な交通の確保」が求められています。これは歩行者にも当然適用され、特に横断歩道のない場所では、歩行者が自らの安全を確保しつつ通行する義務があります。
横断歩道がない場所での横断は違法ではないものの、ドライバーから見えにくい場所で急に飛び出すような行為は「安全確認義務違反」として、歩行者に過失が認められるケースもあります。
自転車や車との接触・回避事故が起きたら
たとえ直接ぶつかっていなくても、歩行者の飛び出しによって自転車や車が転倒・接触事故を起こした場合、その責任はゼロとは言えません。特に、車のドライブレコーダーなどで歩行者の動きが記録されていた場合、民事上の過失責任が問われる可能性もあります。
実際に「歩行者が急に出てきてバイクが転倒し負傷した」事案では、歩行者にも3割の過失が認められた判例もあります。
現実のトラブル:気づかなかったでは済まされない
「ぶつかってないから関係ない」「相手が勝手に転倒した」という主張が通るとは限りません。たとえ事故の原因が歩行者の存在であっても、現場から立ち去ると“ひき逃げに準ずる”とされるケースもあります。
実例として、地方都市で歩行者が交差点を斜めに横断し、それを避けようとしたバイクが転倒したケースでは、歩行者に5割以上の過失が認められ、損害賠償を負担することになりました。
歩行者も“思いやり運転”を
歩行者側も「自分の動きが車両にどう影響するか」を意識する必要があります。車やバイクは急ブレーキをかければ転倒や追突のリスクがあるため、予測不能な行動は“迷惑”どころか“危険”と認識されます。
特に夜間や雨天など視認性が悪い状況では、白線がない場所での横断はできるだけ避けることが安全に繋がります。
まとめ:歩行者にも問われる“安全配慮”の責任
白線のない道路で歩行者が横切ろうとする場合、その行動が事故の引き金になる可能性は十分にあります。自転車や車が事故を起こしてしまえば、「気づかなかった」では済まされず、民事的責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。道路はすべての人が安全に使う場所。お互いに配慮しながら使っていきましょう。