駐車場のポールに車をぶつけた場合の損害賠償はどうなる?過失と修理費の負担の考え方

車でお店の駐車場に停める際、ポールや柱に接触してしまう事故は意外と多く発生しています。警察に届け出をし、店舗にも謝罪したものの、後日「見積もりが出たら連絡します」と言われて戸惑う方もいるでしょう。しかも、そのポールには過去に何人もの人がぶつかっていて、既に傷だらけだったという状況も少なくありません。では、このようなケースで、損害賠償を全額負担しなければならないのでしょうか?この記事では、その考え方や対応策を詳しく解説します。

民法上の基本原則:過失による損害は原則として賠償対象

民法709条では「故意または過失によって他人に損害を与えた者は、これを賠償する責任を負う」と規定されています。つまり、自動車を操作していてミスにより他人の物を損傷させた場合、基本的には加害者が修理費等を負担する責任があるとされています。

ただし、それがすでに損傷していた物体(今回のような既に傷ついたポール)であった場合は、その点が責任割合や賠償額に影響する可能性があります。

過去の損傷がある場合は「全額負担」にならないことも

今回のように、「他の車も当たって傷つけていた」という状態であれば、その損傷がどの程度あなたの接触で拡大したか、という点が重要になります。

実例として、あるドライバーがコンビニのポールに軽く接触し、そのポールには以前から錆や傷が多数あったため、保険会社と店舗側の協議の結果、「補修費用の一部負担」という形で処理されたケースがあります。このように、全額を請求されるとは限りません。

見積もりを確認するまでは支払義務は確定しない

「見積もりが出たらまた連絡します」と言われた段階では、まだ損害額も確定していません。相手が業者に出した見積もりの内容を必ず確認しましょう。

重要なのは、その見積もりが「あなたの接触によって生じた損傷に対する妥当な範囲の修理費用かどうか」です。もし全体交換を前提とするような高額な見積もりであれば、その妥当性について異議を申し立てることも可能です。

保険で対応できる可能性が高い

車両保険や対物賠償保険に加入している場合、こうした施設の損傷も保険で対応できることがあります。保険を使うことで自己負担を最小限に抑えられる場合があります。

ただし、保険を使うと等級が下がるため、将来的な保険料の増加も考慮して「修理費用と比較してどちらが得か」を判断する必要があります。損害保険料率算出機構などで等級別の保険料シミュレーションも可能です。

支払いを求められた場合の対応ポイント

  • 見積書の内訳を必ず確認(ポール全体の交換なのか、一部補修なのか)
  • 過失割合に納得がいかない場合は保険会社を通じて交渉
  • 「経年劣化」や「既存の損傷」について証拠写真があれば有利
  • 納得できない高額請求をされた場合は国民生活センター等への相談も有効

とにかく、自分一人で判断して即答せず、冷静に事実確認と証拠収集を行いましょう。

まとめ:悪いのは事実でも、すべての損傷を負担する必要はない

お店のポールに車をぶつけた場合、確かに責任は生じますが、それが全額補償であるとは限りません。既存の損傷や経年劣化の有無、修理の範囲などによって、請求額の妥当性は変わってきます。

感情的にならず、まずは見積もりを確認し、必要に応じて保険会社や第三者機関と連携しながら対応することが、自分を守るために大切です。

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