名義が故人のままの不動産と相続放棄の落とし穴|税金請求を回避する具体策とは?

親や兄など家族が亡くなった後に相続放棄をしても、不動産の名義が過去のまま放置されていた場合、予期せぬ税金請求が発生するケースがあります。特に兄が先に亡くなり、その名義のまま不動産が残っていると、次の相続でトラブルの原因になることがあります。

相続放棄の基本とその効果

相続放棄とは、家庭裁判所での手続きを経て、被相続人(亡くなった方)の財産や負債を一切引き継がない法的手続きです。一度放棄が認められれば、その人物は「初めから相続人でなかった」とみなされます。

しかし放棄が有効なのは、あくまで「被相続人1人に対して」行うものであり、兄の財産に関しては、兄の死亡時に放棄していなければ相続人のままです。

名義が故人のままの不動産がもたらす問題

不動産の名義人が亡くなったまま登記変更されず放置されていると、毎年の固定資産税がその不動産に対して課税されます。名義が亡くなった兄のままであっても、納税通知書は「名義人の法定相続人」に送られます。

この場合、たとえその相続を放棄したと主張しても、放棄がされていない前提の兄の財産については納税義務が生じうるのです。

兄の相続をしていない場合の対応策

  • 家庭裁判所での兄の相続放棄を申請する
    兄が亡くなった時点での相続放棄が必要です。放棄の期限(死亡後3ヶ月)を超えている場合でも、理由があれば特例が認められることがあります(例:財産の存在を最近知ったなど)。
  • 家庭裁判所で「相続財産管理人」の選任申立てを行う
    相続人全員が放棄した場合、不動産や債務は「管理人」が処分する対象となり、放棄者に請求が届かなくなります。
  • 自治体に「相続人不存在」での対応を相談
    地方自治体によっては、相続放棄の書類を提示することで、納税義務の対象から除外してもらえる場合もあります。

具体例:同様の事例における対応

たとえば、兄が5年前に亡くなり不動産が兄名義のままだったケースで、遺族がその存在を知らずに放置していた場合、税金が5年分請求されたという実例があります。

このケースでは、家庭裁判所に相続放棄の理由と「最近まで相続財産の存在を知らなかった」旨の陳述書を添えて提出し、放棄が受理されました。その後、相続財産管理人を選任することで、税の請求も停止しました。

注意点:相続放棄が万能ではない点

放棄が受理されていても、「実質的に相続人のような管理や利用」をしていると、放棄が無効とみなされることがあります。例えば、その不動産に住み続けていた、収益を得ていたなどの事実があると相続人と判断される恐れも。

したがって、相続放棄の前後は一切の管理や利用を行わないこと、書類や登記の変更手続きを放置しないことが重要です。

まとめ:名義不動産への対処は早めに

・相続放棄をしても「兄の財産」は別物として扱われる。

・兄の財産の放棄がされていないなら、速やかに放棄手続きを。

・放棄が済んでいれば、「相続財産管理人選任」や「自治体への相談」で請求回避が可能。

名義放置は後々の大きなトラブルの原因になります。法的なサポートが必要な場合は、相続に強い司法書士や弁護士への相談をおすすめします。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール