交通事故によるけがで自賠責保険を使う際、治療費や通院交通費などが補償されるのはよく知られています。しかし、退院後に自分で購入したガーゼや包帯といった市販医療品が補償対象になるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、自賠責保険の補償範囲と市販品の取り扱いについて、制度に基づいて解説します。
自賠責保険の基本的な補償範囲
自賠責保険では、被害者の身体的損害に対して補償されます。対象となる主な項目は次の通りです。
- 診察・治療・入院費などの医療費
- 通院・入退院の交通費
- 休業損害(仕事を休んだことによる損失)
- 慰謝料(精神的苦痛に対する補償)
これらは原則として「領収書による証明」があるものに限られます。
市販のガーゼや包帯は補償されるのか?
市販で購入したガーゼや包帯が自賠責保険で補償されるかどうかは、医師の指示があったかが重要です。医療機関から「自宅でもガーゼ交換を行うように」との指示があり、それに基づいて購入したものであれば、医療費の一部として認められる可能性があります。
ただし、その場合も以下の条件が求められることがあります。
- 医師の指示が記録として確認できること(診療明細や医師の一筆)
- 対象品の購入時の領収書があること
- 医薬品としての分類があること(医療用途として明確であること)
補償を受けるためのポイントと注意点
ガーゼや包帯を購入した場合、補償対象として認められるために気をつけるべきポイントがあります。
- レシート・領収書を必ず保管する
- 使用目的が治療に関連することを明確にする
- 可能なら医師に明記してもらう(例:「自宅処置のためガーゼ等必要」など)
これらを備えておくことで、保険会社への請求時に説明がしやすくなります。
実例:市販の医療品が認められたケース
実際に、自賠責保険の請求で以下のようなケースが補償対象として認められた例があります。
例1:交通事故で裂傷を負い、通院時に医師から「自宅でも包帯交換を行ってください」と指示されたため、薬局で滅菌ガーゼと医療用テープを購入。領収書と医師のコメントを添付して申請したところ、数千円が支払われた。
例2:傷口の保護のために自費で購入した市販の消毒薬・絆創膏類は、医師の指示がなく、対象外となった。
市販品購入の申請方法と流れ
申請には、以下の書類が必要です。
- 領収書またはレシート(商品名と金額が明記されているもの)
- 診療明細書または医師の意見書
- 自賠責保険請求書類一式
保険会社または加害者の保険担当者と連携しながら、書類を整えて申請します。疑問点がある場合は、保険会社へ事前相談するとスムーズです。
まとめ:自費購入した医療品でも補償される可能性はある
- 医師の指示があればガーゼ・包帯なども医療費として認められる可能性が高い
- レシートの保存と医療との関連性の明確化が重要
- 判断は保険会社によるが、正当な理由があれば柔軟に対応してもらえる
- 迷った場合は事前に保険会社へ相談するのが安心
事故後の出費は思った以上にかさみます。きちんと制度を理解して正当に補償を受けられるようにしておきましょう。