交通事故と聞くと、車同士が接触するケースを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際には接触がなくても事故と認定される「非接触事故」が存在し、場合によっては損害賠償請求の対象になります。特に妊娠中のドライバーにとっては、安全確保と法的対応が非常に重要です。
非接触事故とは?
非接触事故とは、相手車両と物理的な接触がないものの、その動きに反応して自ら事故を引き起こした場合などを指します。たとえば、相手の急な飛び出しや進路変更に驚いてハンドルを切り、単独で転倒や衝突をしてしまったようなケースです。
このような事故でも、相手の運転行為に過失があると認められれば、損害賠償請求が可能です。ただし、そのためにはいくつかの条件と証拠が必要となります。
事故扱いにするための条件と手続き
非接触事故でも「交通事故」として警察に届け出ることで、事故証明書を取得できます。事故証明書がないと、自賠責保険の請求や損害賠償請求が困難になるため、必ず後日でも警察に相談してください。
届け出の際には、以下の情報が必要となることがあります。
- 事故が発生した日時と場所
- 加害者の車両情報(ナンバーや車種)
- 目撃者の証言やドライブレコーダー映像
加害者の特定ができない場合、損害賠償の請求は困難になりますが、自身の加入している保険に「無保険車傷害特約」や「人身傷害補償特約」が含まれていれば、補償される可能性があります。
妊娠中の事故による体への影響と対処
妊娠中の事故は、身体的なダメージよりも精神的ショックや胎児への影響が心配です。事故後に症状が出ていなくても、必ず医療機関で診断を受けましょう。診断書は損害賠償の請求時にも重要な証拠となります。
また、胎児に異常がなかった場合でも、「精神的苦痛」に対する慰謝料が認められることがあります。過去の判例では、妊婦が事故後の不安により通院を続けたケースで慰謝料の支払いが認められています。
損害賠償請求の可能性と現実的な課題
非接触事故で加害者を特定できており、事故証明書や診断書、ドライブレコーダーなどの証拠がそろっていれば、相手の任意保険会社に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
ただし、相手が逃走してナンバーが分からない場合や、ドライブレコーダーがなかった場合には、加害者を特定できない=請求が困難になります。その場合は、自身の保険会社に連絡し、自費での治療と保障を検討せざるを得ません。
相談先と今後の行動
まずは速やかに最寄りの警察署へ事故の届出を行いましょう。次に、加入している自動車保険会社にも連絡し、非接触事故である旨を伝え、補償内容を確認します。
さらに、法テラスや交通事故に強い弁護士に相談することで、今後の賠償請求の可能性や進め方が明確になります。
- 法テラス(無料法律相談)
- 交通事故専門の弁護士による無料初回相談
まとめ:非接触事故でもあきらめず、証拠を元に対応を
非接触事故でも、妊娠中の女性にとっては重大なリスクとなり得ます。接触がなかったからといって泣き寝入りせず、警察への届け出と医療機関での診断、そして証拠の確保を行うことが大切です。
加害者が特定できる場合は、損害賠償請求も可能ですし、たとえできなかったとしても、自分の保険によって補償を受ける道があります。冷静かつ迅速な対応が、身体と心を守る第一歩です。