子どもが交通事故に遭い、治療や通院が必要になった場合、加害者側に対して慰謝料の請求が可能です。しかし、「慰謝料がいくらもらえるのか」「どんな基準で決まるのか」といった点は、一般の方にはわかりにくい部分でもあります。今回は、6歳の子どもが車と接触し鎖骨骨折、入院・通院を伴うケースを想定し、慰謝料の考え方や相場、実際の請求時の注意点をわかりやすく解説します。
慰謝料は「入通院日数」と「治療期間」が大きな基準になる
交通事故の慰謝料は、治療期間・入院日数・通院日数などをもとに、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つで算出されます。以下はそれぞれの基準の特徴です。
- 自賠責基準:国の最低補償額基準。1日4,300円(2020年4月以降)
- 任意保険基準:保険会社が独自に設定。やや低め
- 弁護士基準:裁判所で採用される相場。最も高額になる傾向
今回のケースでは「5日間の入院」「経過観察として2週ごとの通院(約3ヶ月間)」「全治3ヶ月」という情報があります。これに基づき、各基準での慰謝料目安を見ていきましょう。
慰謝料の具体的な試算例(弁護士基準)
弁護士基準では、入通院慰謝料は以下の表に基づき算出されます。
治療期間 | 入院日数 | 通院日数 | 慰謝料目安 |
---|---|---|---|
3ヶ月 | 5日 | 20~25日(通院日換算) | 約60〜80万円 |
例えば、3ヶ月間で8回通院(2週に1度)した場合でも、実際には「実通院日数×2 or 治療期間のうち短い方」で日数を換算します。治療期間90日であれば、仮に実通院日数が8日だとしても換算日数は16日となり、慰謝料は40〜50万円程度になるケースもあります。
加えて、子どもであることから将来の生活や精神的苦痛を考慮される場合があり、特に後遺症や骨の変形が残る場合は追加で後遺障害慰謝料も対象になります。
入院に関する慰謝料と付き添い看護料
5日間の入院がある場合、慰謝料の他に「付き添い看護料」も請求可能です。6歳の子どもであれば、保護者の付き添いが必要となるため、以下の費用も考慮できます。
- 付き添い看護料:1日あたり約6,500円~8,000円(家庭看護扱い)
- 入院雑費:1日あたり1,500円(自賠責基準)
例えば5日間の入院であれば、付き添い看護料として約3~4万円、入院雑費で7,500円が追加される可能性があります。
示談交渉は保険会社任せにせず弁護士に相談を
保険会社は原則「任意保険基準」で慰謝料を提示してくるため、そのまま示談に応じると本来より低い額で決着することもあります。弁護士に依頼すれば弁護士基準での交渉が可能になり、受け取れる慰謝料が数十万円単位で変わることもあります。
また、弁護士費用特約が付いている自動車保険に加入していれば、弁護士費用は自己負担なしで対応できることが多いです。
実際の手続きで注意すべき点
- 通院の頻度が低いと慰謝料が下がる傾向にあるため、医師の指示に従い通院を継続
- 診断書やレントゲン画像、通院履歴など証拠書類はすべて保管
- 示談書に「今後の後遺障害の可能性を除外しない」旨が書かれているかチェック
特に成長期の子どものケガは、後々影響が出る場合もあるため、示談は慎重に進めるべきです。
まとめ:子どもの事故でも慰謝料請求は可能。適切な知識と準備がカギ
6歳の子どもが交通事故で鎖骨を骨折し、入院・通院したケースでは、慰謝料は概ね40〜80万円程度が相場とされます。さらに、看護料や雑費も加算されるため、請求額は状況により変動します。
最も重要なのは、感情的に示談せず、冷静に相場や証拠を揃えて交渉に臨むこと。弁護士のサポートを受けることで、納得できる結果に繋がる可能性が高まります。