インターネット上で個人情報が晒される「ネット晒し行為(ドクシング)」は、現代の深刻なプライバシー侵害問題のひとつです。本名・住所・学校名・顔写真などが無断で公開された場合、被害者は法的手段を取ることが可能です。本記事では、実際に起こりうるケースとその対処方法について、法律的観点からわかりやすく解説します。
ネットでの個人情報晒しは違法行為に該当する
他人の本名や住所、学校名、顔写真などをSNSや掲示板で晒す行為は、以下の法律に違反する可能性があります。
- プライバシー権の侵害(民法上の不法行為)
- 名誉毀損罪・侮辱罪(刑法230条・231条)
- 不正アクセス禁止法・個人情報保護法違反(場合によって)
例: X(旧Twitter)で未成年者の顔写真と名前、通っている学校が書き込まれたケースでは、保護者が弁護士を通じて投稿者に削除と損害賠償を求め、和解に至ったという実例もあります。
晒された本人はどのような手段が取れるのか?
個人情報を晒された場合、以下の手順で対応可能です。
- 証拠を保存:スクリーンショットやURLを必ず残しておく
- プラットフォームに通報:XやInstagram、掲示板に削除申請
- 発信者情報開示請求:投稿者のIPアドレスを取得し、プロバイダに開示請求
- 損害賠償請求・刑事告訴:精神的苦痛に対する慰謝料などを請求可能
また、未成年の場合は保護者が代理で請求することも可能です。
X(旧Twitter)などSNSの対応状況
主要なSNSでは、個人情報晒しに対して以下の対応が可能です。
- X(旧Twitter):ヘルプセンターからプライバシー侵害として通報
- Instagram:不適切な投稿として報告機能あり
- 5ちゃんねる等:運営または削除依頼フォームに連絡
迅速な削除を求めるには、法的措置を示唆する書面を弁護士が送ると効果的です。
訴えるには何を準備すべきか?
実際に訴訟を検討する場合、以下の資料が重要となります。
- スクリーンショットや投稿履歴の記録
- 精神的苦痛の証明(通院記録やカウンセラーの診断など)
- 投稿日時やアカウント名
民事訴訟では慰謝料として数十万円程度が相場ですが、投稿内容や被害の大きさにより異なります。
未成年や学生が被害者の場合の保護対策
未成年の個人情報が晒されるケースも増加しています。学校や家庭でのケアとともに、以下のような対応が必要です。
- スクールカウンセラーや学内相談窓口への報告
- 保護者が弁護士を通じて交渉
- 必要に応じて警察のサイバー犯罪課へ相談
被害を受けた学生が学校に通えなくなる例もあるため、早期対応が重要です。
まとめ:個人情報晒しは立派な違法行為、泣き寝入りは不要
ネット上で本名や顔写真、学校名などを晒される行為は、法的に十分対処可能です。冷静に証拠を残し、弁護士や相談機関を活用して早期に対応しましょう。
被害を見かけた場合でも、他人事とせず、共有や拡散に加担しないことが大切です。加害者にならないための意識も現代のネットリテラシーとして求められています。