捜査で押収されたスマホのデータが消失した場合の責任追及と対処方法とは?

警察による捜査の過程で押収されたスマートフォンが、返還時にデータ消失していたというケースが現実に報告されています。今回は、こうした事態が発生した際にどのように責任を追及できるのか、また法的にどのような対処が可能なのかを詳しく解説します。

警察による証拠品の管理義務

警察は押収物を適切に保管・管理する法的義務を負っています。これは刑事訴訟法第123条および警察庁通達などで定められています。故意または過失によりデータが消失した場合、国家賠償法第1条に基づく損害賠償請求が可能となるケースがあります。

たとえば、鑑識や解析のために業者へ外注した結果、データが損失した場合であっても、最終的な責任は警察(行政機関)に帰属します。

国家賠償請求とは?

国家賠償請求とは、公務員が職務上の違法行為により国民に損害を与えた際に国や地方公共団体に対して損害賠償を求める制度です。民間の損害賠償請求と異なり、公的機関に対して直接請求できる点が特徴です。

ただし、単なる「事故」や「不可抗力」であったと判断されれば、賠償が認められない可能性もあるため、詳細な状況証拠が必要です。

実際に行うべき対処ステップ

  • 1. 返還時のやり取り内容(日時、対応者名、説明内容)を記録
  • 2. 書面または録音により「データ消失の経緯説明書」を求める
  • 3. 被害額(写真、連絡先、業務データ等)の根拠を明確にしておく
  • 4. 弁護士に相談し、必要に応じて国家賠償請求の準備

特に、業務用スマートフォンで取引先情報や契約書類などが含まれていた場合、損失の範囲と影響を明確に示すことが重要です。

警察の「外注」と責任の所在

警察が外注業者にデジタルフォレンジック作業(データ復旧・解析)を依頼することはよくあります。しかし、その外注過程でデータが消えるというのは本来あってはならない事態です。

民間委託であっても、行政機関としての責任が免除されることは基本的にありません。そのため、直接警察または監督機関(例:都道府県公安委員会)に対して説明を求めるのは正当な対応です。

損害の立証と限界

実際に損害賠償を請求するには「損害の発生」と「相手方の過失・違法行為」と「因果関係」を立証する必要があります。たとえば、「家族写真が消えた」「仕事のデータがなくなり売上損失が生じた」といった内容には客観的証拠が求められます。

また、スマホのバックアップが取られていなかった場合、「自己管理義務」も問われる可能性があります。

まとめ:泣き寝入りせず冷静に対応を

スマホデータの消失は私的にも業務的にも深刻な損害を与えるものです。警察が外注作業でミスをした場合でも、法的に責任を追及する道はあります。まずは経緯の記録を丁寧に行い、法的根拠に基づいた対応を検討しましょう。

国家賠償請求の可能性弁護士への相談など、専門的な判断も必要となるため、早めに対応することが重要です。

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