個人事業主が被害に遭いやすい電話セールスの落とし穴と解約・対処の実践法

個人事業主や家族経営の事業者が狙われやすいのが、いわゆる「押し売り型」の電話セールスです。NTTなど信頼されている大手企業を装い、曖昧な返答を契約とみなして商品を送りつけるケースが後を絶ちません。今回はそうした悪質な電話勧誘とその対処法について、実際の事例を踏まえて解説します。

電話勧誘販売の基本ルールと事業者の弱点

一般消費者であれば、特定商取引法により「クーリング・オフ制度」が適用されます。しかし、事業者は原則としてクーリング・オフの対象外です。これは、事業者は商取引における判断力があると見なされるためです。

たとえば、自宅が事業所を兼ねており、家庭用と業務用の境目が曖昧な場合でも、業者側が「事業者として申し込みを受けた」と主張すれば、契約が成立したことにされるリスクがあります。

事例:NTT関連と誤認させるセールスの手口

今回のように「らくらくWi-Fiサポートセンター」など、それらしい名称を用い、NTT系列と誤認させる手口は典型的です。こうした手法は不招請勧誘(頼んでいないのに勧誘される行為)説明不足による錯誤誘導と見なされる場合があります。

実際、「NTTの関連」と思わせる説明があったにもかかわらず、実際には無関係な事業者であれば、詐欺的商法に該当する可能性があります。録音が残っていれば、立証材料となります。

契約解除を試みるための具体的ステップ

クーリング・オフが使えない場合でも、以下のような手段が検討できます。

  • 特定商取引法違反を主張(誤認を招く表示や説明不足)
  • 錯誤による契約無効の主張(内容を理解しないまま契約した)
  • 不実告知または威迫による取り消し(誤認を利用して商品を送付)

これらは民法や特商法に基づく解約理由となることがあります。書面または内容証明郵便で契約解除の意思を明確に伝えることが重要です。

消費生活センター以外の相談先も活用しよう

消費生活センターは消費者保護が中心のため、事業者には十分な対応がなされないケースがあります。以下のような専門機関や弁護士相談窓口を活用しましょう。

  • 法テラス(無料法律相談が可能)
  • 最寄りの弁護士会が提供する初回無料相談
  • 詐欺被害に強い弁護士事務所への相談(被害額が大きい場合)

また、金融庁や国民生活センターに情報提供することで、業者の監視強化にもつながります。

泣き寝入りせずに社会勉強代にしない選択もある

1万円という金額は確かに大きな損害ではないかもしれませんが、悪質業者の手口を野放しにする結果にもなりかねません。「社会勉強代」と割り切るのではなく、冷静に対応することが将来の自衛にもつながります

もし録音があったり、契約書類が不十分だったりする場合は、契約の無効や取り消しが成立する余地は十分にあります

まとめ:事業者も「消費者」としての防衛策を持とう

事業者だからといって、すべての悪質セールスに泣き寝入りしなければならないわけではありません。契約前後のやり取りに疑義がある場合は、法的手段で対応可能です。

事前に電話応対のマニュアルを作っておく、怪しい電話番号を着信拒否に設定するなど、日常的な自衛策の導入も有効です。何より、曖昧な返事は避け、しっかりと「契約の意思はない」と明言する習慣をつけることが大切です。

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